第14節 実力査定と能力[スキル](少年期14)

凍士と火花先輩の代理の人との試合が決定してから一週間が経過し、約束の日がやってきた。

 俺と凍士は地下の部屋で待っていた。

「来たわよ、入って良いかしら。」

火花先輩の声が聞こえてきた。

 俺はそれを了承する。

火花先輩と火駱君そして先輩や俺よりも少し背の高い男の人が入ってきた。

「紹介するわね、うちで一番可能性のある黒鉄鎖(くろがねくさり)よ。」

「今日は宜しくお願いします、黒鉄さん。俺は審判兼所有者代理の火野照(ひのしょう)です。」

声変わりが始まっているのか俺より若干低い声で返答する黒鉄さん。

 「宜しく。照でいいかな?」

「それで構いませんよ、年上なのですから。」

「それで、私の対戦相手はその小さい男の子ですか?」

「すみません紹介がまだでしたね、こいつは俺の弟子の氷川凍士(ひかわとうじ)です。」

 「お嬢様、本当にこの男の子の相手をして宜しいのでしょうか?」

「大丈夫よ、私を目の前で助けてくれた照くんが認めているのだから。」

「そうでしょうか、とても信じられません。」

「なら、先ずは照くんと試合をすればいいわ。そうすれば凍士くんと試合をする気になる筈だから。」

「分かりました。ということでまず照君と試合をすることになった。」

「分かりました、相手をしましょう。」

ということで成り行きではあるが、先ず俺が黒鉄さんと試合をすることになった。

 「すみません、少し準備をして来るので待ってくれますか?」

 「了解した。」

そして俺は上に上がり動き易い服装に着替え下に戻った。

 照が上で着替えている間凍士たちは…

「あの照という少年あまり強そうには見えませんが…」

「あの子は自分からあまり面倒事に首を突っ込むタイプではないから。」

「では見た目通り…」

「残念だけど、貴方よりは絶対に強いわよ。」

「そうですか、彼との対戦の楽しみが出来ました。」

「あの子は何をしているのですか?」

「私には分からないわ、彼に聞いて。」

 「了解しました。」

「彼が降りてきたみたいよ。

 「すみません、お待たせしました。」

そして俺と黒金さんは武舞台に上がり、互いに向かい合った。

 「照、君が降りてる間に対戦の楽しみができたよ。」

「残念ながら、この試合はすぐに終わります。」

「何!」

「それに、この試合で俺が能力を使うことはありません。」

「なんだと、俺を対戦相手をバカにしているのか⁈」

「いえ、事実を言っただけです。」

「照くん、あまり黒鉄を怒らせないで。黒鉄、貴方も貴方よ、冷静になって自分の実力を出しなさい。」

「すみません。」

「申し訳ありません。」

 「では始めましょうか。」

持ってきたのだろうか、火花先輩が笛を取り出し、「ピーッ」という音を合図に試合が始まった。

 「いつでもどうぞ。」

く、くそ!ただ立っているだけなのに。な、なんなんだ照から感じるこの威圧感は。



 





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