番外編 照の空白の5年間6
「それじゃあ、目的を見て果たすか。」
そして俺と父さんは簡易的なエレベーターに乗って地下に下りた。
地下の部屋は5メートル四方で高さは四メートル程度のあまり大きくはない部屋だった。
「中心に3メートル四方の武舞台があるだろう、そこでお前の実力を把握する。」
「分かった!」
「因みに武舞台の高さは20センチだから大きな怪我をする心配もない。」
「なら安全だね」
「さぁ、やるぞ。」
俺は運動着に。
父さんは動き易い格好に着替えた。
そして、武舞台に上がり父さんの「さあ、かかってこい!」という言葉で試合形式の実力査定が始まった。
俺は当時の全力で父さんに挑んだ。
勿論、女子児童20人を相手にした時よりは強くなっていたので、速度上昇(中)と攻撃力上昇(小)を同時使用した。
これがこの時の俺のコントロール可能な限りでの全力だった。
「スピードは大したもんだ、パワーはまだ発展途上といったところか…」
「お父さん、僕これから“挑戦”するよ」
俺は攻撃力上昇(小)を攻撃力上昇(中)に引き上げた、この時の俺にとってはまさに限界を超えるための挑戦だった。
「う、うぐ、うぐぐぐぐぐ…」
「なんだ?何をしているんだ?」
「い、いくよ。お父さん…」
「おお、来い!」
「うぉぉぉぉぉお‼︎‼︎」
「お、お前このパワーは…さっきまでのは全力じゃあなかったのか?」
「全力だったよ。コントロールできる限界だよ、だからさっき“挑戦”するって言ったんだよ」
俺はすでに息がきれはじめていた。
だが、折角父さんに実力査定をしてもらっているのにここで終わらせる訳にはいかなかった。
「なるほど、確かにパワーが上がっている、にも関わらずスピードが全く落ちていない。」
「ちょ、挑、、戦は…成功したみたいだね……」
俺の意識はここで切れた……
俺が目を覚ますと、目の前に父さんがいた。
「照、お前凄いな最後のあのパワーは父さんが全力で戦っても勝ち切れるかわからなかった上にあのスピードを維持していた…正直、そのパワーとスピードを長時間維持できるようになったら父さんはお前に勝てない。間違いなくな。」
「ありがとう、お父さんおかげで自信が付いたよ。」
「その体じゃあ、歩いて帰るのは厳しいだろう。父さんがおぶってやるよ。」
「い、良いよ。もう小学生だし…」
「気にするな、もう少しすれば父さんはお前の相手にならなさそうだからな。これくらいはさせてくれ…」
「分かったよ…」
こうして、俺は父さんにおぶられながら家に帰った。
次の日から一人称が僕から俺に変わった。
そして、実力査定から暫くの時が経ち、俺が小学校に入学してから半年が経過した。
俺は、自分から話すタイプではないので
あまり友達はできなかった。
しかし、クラスメイトとは仲良くすることができた。
そうして平和に時が経ち意図せずガキ大将たち12人からいじめられなくなってから5年が計画した。
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