番外編 照の空白の5年間5

「そうだった!ありがとう理想の僕!」

 そして俺は目を開き、ゆっくりと部屋の時計を見た。すると、時計は12時過ぎを指していた。

 午後はいつものように2キロの持久走のあと、家に帰り上半身と下半身の筋トレを行った。

 そして持久走の距離を2キロと設定してから半年が経過した。

 この日、俺は腕時計をつけて持久走を行った。

 すると、当初は完走するのに30分程度かかっていたのがいつのまにか20分程度で完走できるようになっていた。

 たかが10分かもしれない、されど10分。戦闘以外で初めて、自分の成長を実感することができた。

 この日以降、俺は腕時計をつけて2キロの持久走を走るようになった。

 といってもつけているだけで見るわけではない。

 そして、2ヶ月後俺は新たに持久走での目標を設定した。

 それは、2キロを10分以内に完走するというものだ。

 この時の俺は良くても18分程度だった。

そしてさらに4ヶ月後、2キロを10分以内で完走するという目標を達成した。

 この時点でトレーニングを始めてから2年が経過し、俺も6歳になった。

 この日は小学校の入学式だ。

勿論、この時は流石に一緒に学校へ行った。

 確かに、小学校一年生を一人で学校まで行かせるのは心配だろうと思う。

 だから、両親と小学校へ行ったという訳だ。

我ながら、新入生らしくなかったと思う。

 というのも、周りは俺たち家族を見るなりそそくさと会場に向かって行ったからだ。そして入学式は滞りなく終了した。

 それからは、平日の日中は学校から帰ってから上半身と下半身の筋トレ、休日は今まで通りという生活を送った。

 小学校に入学して暫くたったある日、俺は父さんにあるお願いをした。

「お父さん、僕の実力を見てくれないかな?」

「お前の何を見れば良いんだ?」

「僕の動きと攻撃だよ。」

 「分かった、なら場所を移そう。」

「何処に行くの?」

 「お前の実力を試すの適した場所にだ。」

そここそ、のちに凍士を連れて行くことになる場所だった。

 「ついたぞ。」

「お父さん、ここは?」

 「元はお前のひい爺さんが家兼仕事場として建てたらしい。」

「そうなんだ」

 「それをお前の爺さんが継いだが、父さんも含めて誰も会社を継ごうとしなかったから爺さんは会社を畳んだ。」

 「うん」

「でも爺さんは父さんにせめてここは継いでくれと頼まれた、継いだ後は父さんの好きにして良いと言われたから父さんはここの所有権を継いだんだ」

 「うん」

「そして、ここを継いだ父さんは仕事でそれなりに稼いでいた貯金を使って業者に頼んで内装のリフォームと地下の拡大をしてもらったという訳だ。」

「じゃあこの小さいエレベーターみたいなのも?」

「そう、業者の人にやってもらったんだよ。」 「なんか秘密基地みたい」

「そうだな、しかしこのリフォームをしたのは別の目的もあるんだ。」

「その目的って?」

 「今はまだ話せない」

「なんで?」

 「関係ないからだ。」

「そうだね」

 「それじゃあ、目的を果たすか。」



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