番外編 照の空白の5年間4

「因みに俺はお前の野生的な願望から生まれた存在だ。」

そして翌朝。

俺は今までで最も集中したそれも悟りを開くのではと思うほど深く集中した。

 すると、今までの暗く何も見えない空間ではなく周りが真っ白な空間にやって来たようだ。

 「やあ、待ってたよ。君がここに来るのを」

「どういうこと?君も僕の別人格ってことなのかな?」

 「残念ながら違う、何だと思う?」

「分からない」

 「一言で言うなら、君の理想が形になった姿さ。」

「別人格と何が違うの?」

 「簡単に言うと、君の中に最初から存在していたかどうかという違いがあるんだ。」

「どういうこと?」

 「あいつは、僕のこと話していたかい?」

「全く」

 「そういうことだよ、あいつは願望を感知することはできるが僕を感知することはできない。」

「何が言いたいの?」

 「つまり、君が認識していなかっただけで僕は最初から君の中にいたってことさ。」

「じゃあなんで僕は君のことを認識できなかったの?」

 「簡単な話さ。最初は概念のようなふわふわとした存在ではっきりとした形がなかったから認識出来なかったというか訳さ。」

「いまいち分からない」

「分かった、具体例を出そう。電気はそのままでは見えない、けど携帯とかの電子機器に充電器を挿して充電することで電気を認識するだろ、そういうことさ。」

「やっと分かったよ。」

「それで?何か僕に用があるんでしょ?」

 「そうだ、僕は自分の“芯”を見つけないといけないんだ。」

「なるほど、それを見つけるのを手伝って欲しい、そういうことだね。」

 「うん」

「先ず聞くけど、君の好きなことは何かな?」

「ゲームやアニメを見ること」

「次に、自分がされたら嫌なことは?」

 「いじめ、特に大人数で一人をいじめる集団のいじめが嫌‼︎」

 「じゃあそれを見てしまったら?」

「まず少し様子を見る。」

 「何故、様子を見る必要がある?そんなのはさっさと叩き潰してしまえば良いだろう、違うかい?」

「違う」

「何故?」

 「可能な限り平和的に解決したいから。」 「では次。相手を殺すことでしか解決できません、どうしますか?」

 「その時は仕方ない、全力で立ち向かう。」

「つまり、君は何がしたい?」

 「僕は、自分と似たような境遇の人を守り、導きたい!」

「ということは?」

 「これが僕のやりたいこと!」

「そう、それが君の“芯”だよ。」

 「現実の時間は大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、イメージとしては夢に近いからね。例えばここで3年過ごしたとしても、向こうでは3時間みたいな感じでここの時間はどうとでもなるから安心すれば良い、とは言えそろそろ現実では昼食じゃあないのかい?」

 「そうだった!ありがとう理想の僕!」

そして俺は目を開き、ゆっくりと部屋の時計を見た。すると、時計は12時すぎを指していた。

 

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