番外編 照の空白の5年間3
「確かに、お前の覚悟見せてもらった。だが、能力に体が追いついていない持久走だけでは体づくりとしては不十分だ。」
「分かった、じゃあ筋トレすれば良いんだね」 「そうだ。しかし一箇所だから鍛えるのではなく全身をバランスよく鍛えろ、じゃないと意味がないからな。」
そして、目が覚めると朝だった。
これからは、今までのトレーニングに加えて筋トレをすることで肉体改造することにした。
午前中は今までと同じく精神面を鍛える、これは変わらない。
午後は少し変わった。1〜2キロの持久走から戻って来た後、晩御飯まで上半身と下半身を鍛える時間を分けて行うようになった。
そして、トレーニングメニューの変更を行ってから3週間が経過した。
俺は、精神的に鍛えることに限界を感じていた。
この日のトレーニングの時間の大半を筋トレに費やした。
そして夜、夢のなかにて。
「精神トレーニング、行き詰まったようだな。」
「そうなんだよ。何か良いアイデアないかな?」
「お前、そういえば自分の“芯”はあるのか?」
「多分、ない。」
「なら、このままではこれ以上強くなれないぞ。」
「えっ…嘘でしょ?」
「オレが嘘を言うと思うか?」
「思わない」
「だろ?ならお前自身の“芯”を見つける、それが次の精神トレーニングで良いだろ。」
「ありがとう、ルーティンを崩さなくてすみそうだよ。」
「たまにはお前からここに来てくれよ、今のお前ならできる筈だ。」
「分かったよ、今度は僕からここに来るよ。」
そして、翌朝。
それじゃあ、トレーニング開始と行くか。
午前中の精神トレーニングは自分の
“芯”を見つけることに変更した。
心は十分に鍛えられたということなのだろう、だから行き詰まったそう思えば少し気が楽になった。
午後のトレーニングも持久走の距離を1〜2キロと曖昧だったものを2キロとしっかりと設定したのだ、筋トレに変更はない。
この時、トレーニングを初めてから半年が経過していた。
その夜、夢の中にて。
「そういえば、君はどういう存在なの?」
俺は自分の姿をした何かに質問した。
「オレか?オレはお前とは別の意識体、いわゆる“別人格”ってやつだ。」
「そうなの?」
「そうだ、質問はそれだけか?」
「うん」
「じゃあ。何故俺というか別人格が誕生したのかその説明をしてやろう、お前は知らないだろうからな。」
「うん」
「一言で言えばお前の願望から生まれた存在だ。」
「と言うと?」
「お前のこうなりたいなという弱い願望が積もり積もって生まれたのがオレというわけだ。」
「じゃあ、君意外にも別人格が生まれるかも知れないってこと?」
「今のところそれはない、オレはお前の僅かな願望でさえ感じ取ることが出来る。だが、新たな別人格に繋がりそうな願望は一切感じない。」
「良かった、君意外の別人格がいたら混乱しそうだし…」
「因みにオレはお前の野生的な部分の願望から生まれた存在だ。」
そして翌朝。
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