番外編 照の空白の5年間2
「こいつ、さっきより早くなってないですか?」
「確かにスピードは上がったようだ、けどこっちは人数がいるんだ負けるはずがない‼︎」
女子児童たちの勢いは落ちなかった。
「パンチは大したことないですね。」
くそっやっぱりこの人数の上にトレーニングを始めたと言っても、まだ2週間。流石にまだ早かったかなどと思っていたのだが…
1人の女子児童の右脇腹にパンチを当てると今までより少し本当にほんの少しなのだが攻撃力が上がった気がした。
攻撃を喰らった女子児童が呻き声をあげ、悶える。
「ウワァァァァァァーー‼︎」
リーダー格の女子児童が落ち着かせようと声をあげる。
「落ち着け!少し攻撃が強くなっただけだ、こっちは人数がいるんだ全員が全力で一斉にかかれば勝てる‼︎」
その言葉を聞き、女子児童たちは先程よりも早くなった。
だが、俺はどういう状況なのか理解できていなかったが、そのままのスピードと攻撃力で女子児童のうちの4人を倒すことに成功した。
すると、流石に女子児童たちの士気と勢いが落ち始めた。
そして、俺はそのまま立て続けに6人を倒し、残り半分となったところで分が悪いと思ったのか女子児童たちは去って行った。
正直俺も限界だった、これ以上続けていたら確実に負けていたし、血だるまされていただろう。
「だ、大丈夫だった?」
「う、うん。それより君の方がボロボロじゃない、なんでそんな体になっても助けてくれたの?」
「気まぐれ、それと自分の実力を試したかっただけ。」
「バカなの⁈なんで実力を試す為に20人に挑むなんて無謀なことをしたの?死んでもおかしくないのよ‼︎‼︎」
「結果オーライさ。確実に強くなっていることが分かったからね。」
「助けてくれてありがとう、何かお礼をさせて。」
「要らないよ、お礼なんて。さっきも言ったと思うけど、気まぐれだから。」
そして俺は、ボロボロの体に鞭を打ち、すり足とふらふらと体を揺らしながら家に帰った。
その夜、夢の中にて。
「今日僕の体に起きたあの変化はなんだ、教えてくれ‼︎‼︎」
「最初に言っておくがオレは手を出していない、つまりお前自身の力ということだ。」
「それは分かった、だから僕の体に起きた変化を教えてくれ‼︎‼︎」
「あくまでもオレの予想だが、恐らくお前の能力は感情を己の力に変えることだろう。」
「どういうこと?」
「つまり、お前は意図せず自分の力を発現させたと言うことだ。」
「なるほど、ということは僕の体がボロボロなのも?」
「恐らく、能力使用の副作用もあるだろうな。」
「やっぱりそうか。」
「今回のはかなり危険だったぞ、確かに“覚悟”を示せと言ったが自殺しに行けなんて言ってないぞ。」
「でも、あれから生き残れたんだから“覚悟”は示せたでしょ?」
「確かに、お前の覚悟見せてもらった。
だが、能力に体が追いついていない持久走だけでは体作りとしては不十分だ。」
「分かった、じゃあ筋トレすれば良いんだね」
「そうだ。しかし一箇所だけを鍛えるのではなくバランスよく全身を鍛えろ、じゃないと意味がないからな。」
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