番外編 照の空白の5年間
ガキ大将たち12人が俺の前から去って、この日「もう、絶対いじめられない!」と決め、「何があってもトレーニングを続ける!」という覚悟も同時に決意した。
その日の夜、夢の中で自分の姿をした何かに話かけられた。
「お前は強くなってどうなりたい?」
「僕は、平穏な生活をしたい!」
「では、似た境遇の人間に会っても無視するというかことだな?」
「違う!」
「違うというなら、“覚悟”を示して見せろ!」
「ど、どうやって…?」
「オレは、力を貸さない。だから
遭遇した時に自分の力だけで乗り越えることだ、それが証明になる。」
「分かった!」
「オレはここからお前を見ているからな……。」
目を覚ますともう朝だった。
先ずは、心を鍛えることにした。
心が弱いから自分で反撃すら出来ないんだと思ったからだ。
周りの音が聞こえなくなる程に集中して今までの辛かったことを思い出して精神を鍛えるのだ。
そして、午後になると今度はトータルで1〜2キロを走って体力作りをした。
このトレーニングを2週間続けていたある日の午後、ルーティンとなりつつある持久走をしていた俺の目に自分と同じくらいの女の子が小学校低・中学年くらいの女子児童20名に集団のいじめに遭っていた。
自分がどれほど強くなったのか確認する為にも気まぐれに助けることにした。
それに、精神世界から見ているという俺の姿をした何かに“覚悟”を示すことが出来てまさに一石二鳥だと思った。
「何してるんですか?」
いじめをしている女子児童の一人が俺の問いかけに答えた。
「なにって…見て分からない?こいつに‘立場’ってものを教えてんの‼︎」
「そうですか、そんなに大勢で1人をいじめて何か意味があるんですか?」
「うるさい‼︎‼︎何?正義のヒーローにでもなったつもり?」
「いいえ、そんなつもりはありません。
僕から見た事実を言っただけです。」
「だとしても、私たちには正義のヒーローを気取っているようにしか見えないけど?」
「そうですか、でも僕にはあんたらの事情なんて関係ない。あんたらの中で一番強いのは誰?」
「何?一番強い奴に勝てば私たちが逃げるとでも思ってるの?」
「はい。あんたらのようなタイプは一番強い奴が負けるとすぐに退散するんじゃないんですか?」
いじめている女子児童の中でも大きいリーダー的な女児が声を荒げて、 「なら、現実ってモンを教えてやるよ!!!」と言うなり女の子をいじめていた女子児童十数名が、俺に向かって一斉に襲いかかってきた。
しかし、俺1人に対して向こうは数十人最初は一方的に攻撃をくらい続けた。
だが、段々と女子児童たちの動きが遅く見える様にになった。
同時に女子児童たちは俺の動きが見えはするものの、攻撃を当てることができない。
「こいつ、さっきより速くなってないですか?」
「確かにスピードは上がったようだ、けどこっちは人数がいるんだ負けるはずがない‼︎」
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