第8節 報復 (少年期8)
入学式から数週間が経過したある日。
1人の女子生徒が複数の不良少女からいじめられていた。前はこれほど酷くは無かった。なぜなら、自分の上履きを隠されたり鋏で髪を切られたりお金の要求をされたり等この時点で既に酷いのだが、今ほどではなかった。
というのも、不良少女たちからすれば身体は既に傷がついている上に顔は一瞬でバレるため、暴行は加えられていなかったのだ。
しかし、入学式の日に自分たちにいじめていた女子生徒が不良を使って同様のことをするという仕返しをして来た為、その女子生徒に立場を理解させようと、今まで以上にいじめているのだ。
「おい。自分の立場が理解できたよな?」
不良少女たちのリーダーと思われる女生徒が、女子生徒に問いかけた。
女子生徒は、恐怖のあまり返答ができないようだ。
「……。」
取り巻きの1人が声を荒げた。
「百合さんが聞いてんだ!答えろ‼︎」
だが、やはり女子生徒は答えない。
しびれを切らしたのか、もう1人の取り巻きが女子生徒の右の脹ら脛を強く蹴った。
「痛い…」(女子生徒が小さく呟いた)
それを聞き逃すことなく、蹴り続けていた取り巻きを百合と呼ばれたリーダーと思われる女生徒が静止した。
そして百合が女子生徒に再び問いかけた。
「もう一度聞くぞ。自分の立場を理解できたよな?」
「……。」
答えない女子生徒に続けて問いかける百合「何で、今こう言う状況になっているか分かっているのか?」
「分かりません」
「あんたが、入学式の日に不良が校内に来るように頼んだんじゃないの?」
「違います。」
「じゃあなんで入学式のあの日、校内に不良が侵入してんだよ!訳分かんなーんだよ!」
女子生徒は自分の取った行動を百合ら、不良少女数人に説明した。
「私は、兄に相談しただけです。
なので、本当に何故不良たちが校内に侵入してきたのかは本当に知らないんで
す‼︎!!」
「なるほど、つまり自分は兄貴に相談しただけで関係ないと言いたい訳だな?」
「はい」
「あんたに取ってはそうでもアタシたちからすれば結局あんたが元凶なんだよ‼︎‼︎」
百合のその言葉を合図に不良少女たち数人が全員で女子生徒に暴行を加え始めたのである。
この状況は傍から見ればかなり酷い状態だっただろう。というのも、ブレザーを暴行を加えられている女子生徒は着用していなかったからだ。なので全身の痣が痛々しく見えていたのだ。しかもそれが行われていたのは公園の花壇の近くであったこともあり、広い道路側からは花壇の花々とレンガによる塀によって見えにくく酷い状況だということは見た誰もが理解していたが、誰も女子生徒を助けようとはしなかった。
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