第4節 試練攻略3 (少年期4)

凍士は、照に問いかけた。

「僕のこと覚えてますか?」


照の返答は、凍士にとって少し残念だった。

「思い出した!確か試練を与えた…凍士!」

これは、裏を返せば今の今まで忘れられていたということでもあるのだ。

 確かに、照の方からすれば自分はたまたま助けてもらっただけだと思うが、あれほど強く弟子入りを志願したのにも関わらず、忘れられていたのはやはり残念だった。


「お前のその体では次の試練に進むことはできんな。」

 照のその言葉を聞き、やはり弟子の資格がないのだと思い帰ろうとしたが、そういうことではなかった。


「第一の試練は突破だ」と照は小さく言った。


凍士は、それを聞き心の中でガッツポーズを取った。


「第二の試練は俺との試合だ。」


「では次の試練に進めないというのは?」


「そんなボロボロの体では俺との試合は出来ないという意味だ。」


凍士は肩の荷が軽くなるのを感じた。


「だから俺との試合はお前のそのボロボロの体が治ってからに決まっているだろ。」


 凍士はこの日、照に支えられながら家路に着いた。


2029年9月末:第一の試練突破


2ヶ月後、前回あった場所で待ち合わせをすることになっている。

 「照さん遅いな…。」

凍士が振り返ると、そこには照の姿があった。あまりに驚き過ぎた為に尻もちをついてしまった。


「ひどいですよ、完全に気配を消した上で驚かすなんて!」


「いやー悪かった。時間の指定をしていなかったからな。早く来ようと思ったら既にお前がいたから、折角だから驚かせようと思ってな。」


「よかったですよ、また悪い奴が来ているのかと思いましたよ。」


「本当に申し訳なかった。」


照の顔が真剣な面持ちになった。

「さて、俺はお前の体が治ったら、第二の試練を行うと言ったよな。言っておくが俺の信条は有言実行だからな。よく聞いておけよ!」


「第二の試練:俺との試合はある場所で行うため、当然ながら、移動する。そして、最初にも言ったが不足だと判断したらお前は弟子にはなれない問題ないな?」



「はい‼︎」


「では移動するとしよう。」


2人は、第二の試練を行う場所に向かって移動を開始した。



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