第8話

それから私は家に引き篭もるようになった。

引き籠ると言っても、自分の部屋ではまた従兄弟引きずられて風呂場に連れて行かれ同じ目に遭ってしまうので、姉達の部屋にずっと居座っていた。

現実から目を背けたいのか、過眠症という病気になり、そして一日の大半を眠って過ごすようになった。


姉達は自分達の部屋に居座り続ける妹に愛情を感じ始めていたのか、従兄弟から少し守ってくれるようになった。


私が中学に上がる頃にはおじさんと従兄弟は引っ越ししていなくなった。

私はそれでも、姉達の存在に何となく安心するせいか、そこから離れようとはしなかった。

引き篭りになった私はコロコロと太っていきぬいぐるみのようになっていたので、それが姉たちに更に溺愛される原因になっていった。


それから母の私に対する態度が大きく変わった。

何かにつけて叩かれていたけれど、その回数も減り落ち着いてきていた。

今まで汚い物を見るような目で見ていたはずが、私から目を背けるようになった。

それは多分陽性症状のせいであった。

薬が効いている時は普通に過ごせるのだが、効きが悪くなると幻覚が見えるようになり、私の中で変な物体は常に宙に浮かんでいて、時にはそれらが攻撃してくることもあり、力の限り暴れる私を押さえ込むのは大変だったらしい。

その後に幻聴が聞こえてきて、家族は私の悪口を常に言っている。

そしてそれを聞いた私はまた暴れる。

その繰り返しだった。

一番上の姉が成人する頃には母はいなくなっていた。

姉達はそんな私でもまだ可愛がってくれていて、本当に感謝していたのを覚えている。


姉達は大好きな存在だった。

それは今も変わらない。

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