第6話 休日の朝と成長のご褒美

 7日の内、重りのような5日が過ぎて、まるで羽になったような土日が訪れる。


 俺とデミルの幹部仕事は土日が休みであった。


 魔王城は週休二日制で祝日は一般社員は休みで幹部などの上の立場は仕事のスタンスで運営している。


 そのため久々の休みに俺は日頃の疲れを取るため、ぐっすりと寝ていたのだが...


「バルファク〜起きるの!」


 パジャマのデミルが大きな声を出しながら勢いよく寝ている俺に向かって突進し


 大きな角が俺の脇腹に刺さる。


「グハァ!...デっデミル...それはやめろって言ってるだろ...」


 忘れがちだが幼女だからといっても竜種なので威力はエグい。


 相手が俺だから悶絶程度で済んだものの


 その威力は普通の魔物だったら貫通して木っ端微塵になるレベルの突進だった。


 これをする理由を前に聞いたことがあるが


「バルファクが起きないからやってるの。遊んでるだけなの。」


 本人は遊んでいるつもりらしいが普通に痛いのでやめてほしい。


 休みの日は毎回起きないとこれを食らうので起きるようにはしているのだが、


 睡魔には抗えず休日は毎回これを食らう。


 食らうたびに毎週威力も増しているので少し命の危機を痛感した。


 そこから1時間ぐらい悶絶したのち痛みが落ち着いてきたのでゆっくりと身を起こす。


「バルファク!お腹すいたの!」


 デミルはどうやらお腹が空いたらしく、


 リビングのテーブルで俺が作るご飯を待っている。


「わかったわかった。目玉焼きでいいか?」


「うん!バルファクの料理は美味しいからなんでも食べれるの!」


 俺はデミルに朝食の確認をし、厨房でささっと目玉焼きを作った。


 魔物鶏マモドリの卵を2つフライパンに落とし、


 蓋をしてちょうど半熟になるように火加減を調節する。


 目玉焼きを半熟にする理由はデミルが半熟が好きだからであった。


 そして焼き上がった半熟の目玉焼き2つを皿に乗せ片方は醤油、


 もう片方にはオイスターソースをかける。


 醤油はデミルでオイスターソースは俺のやつだ。


「デミル。できたぞ〜」


 俺はリビングのテーブルに目玉焼きを置く。


 デミルは楽しみにこちらを見ているが目玉焼きを見るなり少し不機嫌になる。


「...バルファク。デミルは半熟の黄身を割ってから醤油をかけたかったの。」


 俺は失念していた。


 デミルが半熟を好きな理由というのはとろっとした黄身の中に


 醤油を入れる時が楽しいからである。


 そのため先に醤油をかけられた目玉焼きを見て不機嫌になったのである。


「ごめんデミル...忘れてた。」


「まぁ...バルファク作ってくれないとそれ以前の問題なの。デミルもすぐ不機嫌になってごめんなさいなの...」


 俺の謝罪にデミルも謝罪を返してくる。


 ...正直とても驚いていた。


 普段なら絶対に”次から気をつけるのよ!”とか言って謝らないのに。


 デミルの成長が目に見えて俺は感無量だ。


 デミルの成長を噛み締めつつ一緒に目玉焼きを食べて、


 洗濯や皿洗いなどをを終わらせあとは掃除するだけのところまで終わらせる。


 玄関の掃除をしていた時、ポストに一枚のチラシが入って来た。


「なんだ・・・?」


 ポストからチラシを取り、内容を確認する。


 ”プレイランド土曜日開園!”と書かれた遊園地のチラシだった。


 俺はこれを見て良案を思いつく。


 このチラシをもってデミルの元へ駆け寄って、こう告げる。


「デミル!遊園地に行こう!」


突然のことにデミルは少し困惑する素振りを見せるが、


すぐに笑顔になって答える


「いいの!?始めての遊園地楽しみなの〜♪早く着替えなきゃなの!」


デミルは遊園地に行くためパジャマから着替えに行った。


着替えている間に俺は出発する準備を終わらせる。


5分後デミルが着替えて出てきた。


そんなデミルを背負い、俺は遊園地に出発するのである。













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火炎魔神と水竜少女の魔王軍幹部録 スピの酢 @supinosu

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