第5話 合同幹部の仕事日の一日(夕)と就寝まで

すねたデミルを連れて執務室まで帰ってきた。


どうやらデミルはまだすねてるらしくまだほほを膨らませている。


こうなると全然機嫌が直らない。


結果はわかっているのだが一応聞いてみる。


「デミル。いつまですねてるんだ...」


聞くとデミルはさらにほほを膨らませ


「...帰りにケーキ買ってくれるまで。」


と答える。


毎回この方法でデミルは欲しいものを俺に買ってもらっていた。


でも俺は俺で毎回買ってあげてるからずいぶんと甘いと思う。


「じゃあ帰りにケーキ買って帰るから最後の書類束、頑張るぞ。」


今回もデミルの要望を聞く。


買わないと絶対動かないからな...


俺の言葉を聞いたデミルは機嫌が直ったようで、とても張り切っている。


「買ってくれるならデミル頑張るの!」


そうして機嫌を直したデミルと共に最後の書類束を確認し処理して業務は終わる。


時刻は午後7時30分近くまで進んでいる。


あとは魔王様に提出するのだが提出方法は直で渡さずに


各部屋専用の魔法道具で転送するのだ。その前にある店に電話をしてから


書類束を転送し無事に今日の仕事が終わる。


終わったからにはあれを買いに行かなければならない。


「さぁバルファク!ケーキを買いに行くの!」


そう言ってデミルは背中に抱き着いてきた。


まぁ...約束しちゃったものはものなので買いに行くとしよう。


「じゃあ行くぞ。デミル。」


俺は執務室の電気を切って退出する。


労働時間は魔王城に入ると”労働をしている条件”に当てはまったら勝手にカウントされ


その他の時間はカウントされないのでそこら辺の対策もばっちりしてある。


そうして魔王城をでて10分歩いたところの大人気ケーキ屋さんに顔を出す。


俺は店内に入るとデミルにケーキを選ばせている間に店長に久々の挨拶する。


「店長。毎度こんな時間に店開けてもらってすいません。」


頭を下げる俺に店長は


「いいってことよ。バルファクが誰かのためにお願いするなんて見たことないしな」


と、一応幹部の俺にため口で話せるこの店長。


実は魔王様のご親友であり、俺に魔法の技術を教えてくれた師匠でもある。


かなり強い大魔法を操る魔族であった元々魔王様の親衛隊をやっていたのだが


今は引退し魔王様のご親友ってことを隠してケーキ屋を営んでいた。


午後7時に閉店するがデミルのために電話して開けてもらっている。


そうして久々の再開で世間話なんかをしていたらデミルがケーキを決めたそうで


「バルファク!このイチゴたっぷりのショートケーキがいいの!もちろんホールなの!」


この店の名物であるショートケーキはとても評判がいいため切り分けサイズが1つ3000円もする。


ホールともなると値段はなんと三万円もする代物だ。


少々痛い出費だが使いたいことがなくてたまるだけたまった貯金から出すので何も問題はない。


「じゃあ店長。これのホールください。」


俺が注文すると店長は予測していたかと思わせるほど素早く用意してくれた。


俺がお会計をしようとすると店長が


「お代は結構だ。弟子が誰かのためにお願いする姿を見れたからそれで満足よ」


と言ってただでくれた。


デミルにケーキを渡して俺とデミルは家に帰る。


先に部屋に入ったデミルが玄関でこっちを振り向く。そして...


「おかえりなの!バルファク!」


おかえりなんて久々に言われた。おれも答える。


「ただいま。デミル。」


そうしてお風呂、洗濯などの家事を終わらせ、ケーキを食べたら


デミルはぐっすり眠った。


布団を横に敷いて俺も寝転ぶ。


「お休み。デミル」


そう言って俺も夢の中へ飛んでいく。


明日はお休みなのでどこかへ出かけよう。そう思いながら...

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