第17話 人生の終わり。
この日、俺の人生は終わった。
魔王を倒す為の武器に変わるはずだった!
お金は無くなり……多額の借金だけが残った。
そして、俺は……
その借金を返す為に必死で働いた。
寝る間も惜しんでクエストをこなしていると、俺の体に限界が来た!
疲労の限界……動きが悪くなった体ではモンスターの攻撃を避ける事が出来ず!
致命傷を受けた俺は、完治した後も。
聞き手で剣も握れず……足を引きずる様になっていた。
そして、俺は死に場所を求めてダンジョンへと足を進めていた。
*
*
*
「って、
僕は、泣きながら話すクリスを慰めた。
「それは、それは……
では、仕事を与えます!
それで! 貴方は、新しい仲間を見つけるか育成をして下さい。
そうすれば、貴方の望みは叶うかも知れませんし……お金は、間違いなく返せるはずです!
なお、ここに住み込んで頂くので家賃は掛かりません!
しかも、3食食事付き! 貴方が作るんですけどね。
時間が出来た時は、ダンジョンで自分を鍛えるのも良いですよ!」
「そんな好条件で、本当に良いのか?」
「構いませんよ。
貴方に協力して頂きたいと思っていたのは、こちらですから!」
「ありがとう!
でも……俺の夢は、もう無理だと思うけどな。
この体じゃ……魔王どころか体を鍛える事もままならない。」
「それなら、問題ないですよ。
僕が、治しますから! 蘇生魔法が使えるんですよ。
回復なら手足の1本や2本くらい無くても問題無いですよ!」
「それは、本当か!?
俺は、お前にどう恩を返したら良いのか分からん……」
「良いんですよ。
でも、一つ約束して下さい!
貴方は、もっと自分を大切にして下さい。」
*
クリスは、本当に仕事の出来る人であった。
数日で、ダンジョンの管理をマスターすると……僕達の身の回りの事を済ませてからは、毎日ダンジョンで、自分を鍛えていた。
「クリスは、本当に頑張り屋さんだね。」
クリスが来てから暇が出来たラットは、お菓子を食べながら毎日毎日、グゥ〜たらしていた。
「そやな……ボリッ…………たまには、ボリッ……休んだら、ええのに
オレかて……ボリッ……ボリッ…………あそこまでは、ダンジョンの管理してへんよ……」
「あっ! 噂をすれば帰って来た。
おかえり〜クリス!」
「ただいま戻りました。
ラクさん……何かする事は、ありますか?」
「特にはないよ。少し休んだら……」
「やる事ないんやったら、オレに食事でも作ってくれ!」
「……ぁあ、分かった。
ご飯の前だ、お菓子は程々にしとけよ!
入らなくなるから。」
「大丈夫やー! オレ様を誰だと思っとるんや!!!」
それからクリスは、パパッと食事を作ると
「ほらよ! ネズミ、これでも食っとけ。」
「おい! クリスよ。
お前は、少しオレに対しての感謝や尊敬の念が足らなくはないかい!?」
「……何で、俺がネズミに感謝しないといけないんだ!? ラクさんには、感謝しているがお前には何も無いぞ!」
「何やー!!! お前ーー!!! ここが誰の家やと思っとるんやーーー!!!」
「えっ!? ラクさん……
お前は、ただのペットだろ!?」
「ちゃうわーボケーーー!!!
オレ様は、このダンジョンのダンジョンボスやーーー!!!
せやから、このオレはダンジョンの一部であり。ダンジョンはオレの一部って事や!!!
言っておくけど、ダンジョンが消えたらオレも消えるからな!!!」
「……ぁあ。
でも、お前が消えてもダンジョンはきえないだろ!? それって、お前がただ単に……」
「うっさいボケー!!!
良いからお前は、オレの事を敬え!!!」
「敬うって、俺はどうすれば良いんだ!?」
「まずは、オレ様の事をネズミ先生! と呼べ!!!」
「分かった。ネズミ先生! これで良いのか?」
「ええやん! ええやん!」
ラットは、上機嫌になった。
「でしたら、ラクさんの事は! 師匠と呼ぶ事にします!!!」
「何故、師匠……?」
「先生の上は、師匠だと思いまして!!!」
僕は、クリスの熱量に押された。
「うん……いいよ……。」
そして、クリスは僕を師匠と呼び! ラットをネズミ先生と呼ぶ様になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます