第3話


〜自分に対する"嫌悪感"〜


中学生になり、色んな人と出会って

色んな人と関わることが増えて

自分のコミュニティがびっくりするぐらいに

広がって行きました。

小学生の頃にいじめてきた奴らは

中学生になって

関わることは一切なくなり、見かけることもほとんどなくなりました。

私は新しいコミュニティで楽しい毎日を

過ごせて、いつの間にか学校へ行くのが

楽しくなりました。


中学に入学して1ヶ月が経った頃

私は人生初めて一目惚れをしました。


隣のクラスの前で群がっている

ちょっと不良系な男子の集まりの中に

一際クールでスタイルのいい男子に

ロックオンされました。


これまでも好きになった男子は

もちろんいたけど

今までとは違う"本気の恋"というものを

初めて体験したのです。


その男の子は女子とあまり関わらない人で

少し近づきがたいオーラもあり

周りからは一目置かれる存在でした。


だけど私はどうしても関わりたくて

どうしても話してみたくて

彼がいつも遅刻してくることを

知っていたので

彼が登校する時間に合わせて

登校してみました。


最初は緊張で何も話せなかったけど

何度か会う度に少しずつ話せるようになって

最終的には彼から挨拶をしてくれるようになりました。


彼から挨拶された時は泣きそうなぐらい嬉しかった。


もうこのチャンスを逃したくないと思い

顔面トマトにしながらLINEを聞きいてみました。

そしたら彼はすんなりと教えてくれて

これからは毎日LINEのやり取りをするようになりました。

それから1ヶ月後、私は思い切って告白をしてみました。

その告白は無事実り

彼とは"彼氏彼女"の関係になりました。


彼氏彼女という関係になったものの、

特に変化はなくLINEでの毎日やり取りも

変わらず、廊下ですれ違ったら少し話すぐらいで

側から見たら本当にカップルなの?と

思われてしまうほどでした。


一つ変わった事といえば

"好きだよ"の言葉が増えたぐらい。


それだけでも私は嬉しくて毎日幸せでした。

そんな幸せな時間は突然奪われました。


学年で一位、二位を争う

可愛いと言われている女子が

"彼と付き合っているの私なのに取られた"と

泣き始め、一瞬で私はいじめの標的に変わりました。


彼にそのことを直接聞いたら

付き合っていなくて

ただその女子の"片想い"だった。


この日から私のいじめ生活が始まりました。


机の中はゴミ箱へ捨てられ

上靴の中には毎朝画鋲が入れられ

自転車の鍵は校庭に埋められ

Twitterで家の住所と顔写真を拡散され

通学カバンを開けば

"死ね"

"消えろ"

"ブス"

の言葉の紙達。

でもその紙達の中で1番突き刺さったのは

"よくその顔で彼と付き合えたな"

の言葉でした。


私はこの言葉で自分の顔、

自分の全てが大嫌いになり

自暴自棄になり、リストカットに走りました。


最初は手首をハサミで切り刻むようにするのから始まり、それでは痛みが感じられなくなったのでカッターへと変わりました。


"痛み"で"辛さ"を誤魔化せることを知ってからは

カッターが手放せなくなっていた。


どんどん傷が増えていく自分の体。

こんな姿を彼には見せたくなくて

大好きだった彼にはお別れを告げました。


毎日毎日隠れて泣きながら

自分の髪の毛をむしり

声を殺してリストカットをする日々。


でもある日それが父親に見つかってしまいました。


父親は単身赴任で海外に行く事が多くて

一年に一度ほどしか日本に帰ってきません。

だから"こうなった"ことは

父親は詳しく知りませんでした。


久しぶりに日本へと帰ってきて

私を見た父親が私に1番に発したのは

心配の言葉では全くなくて


『お前がそういうのだからいじめられんだよ』


でした。


その瞬間本気で生きてたくなくなり

持ってたカッターを今までで1番深く切り込みました。


それを見ても父親は


『そんな簡単に人は死なねえんだよ』


ただその一言でした。


私は思わず、


『お前の顔がそんなだから、うちもこんな顔面になって顔についていじめられてるんだよ!!

お前の子じゃなかったらもっとマシな顔面だったんだよ!!』って


声を荒げて叫びました。


父親が私がこんなに反論するのを

初めて見たので唖然としていました。


この一件で大好きだった父親は

"世界一嫌いな人で憎い人"に

変わりました。


それから私の自暴自棄は止まらず

ついにベッドからも動けなくなり

家から出ることはなくなりました。


ストレスからか熱が数ヶ月も続き

頭痛腹痛からの吐き気も続き

人が怖くなり話をすることも出来なくなって

中学生活はほとんど家で過ごしました。


その姿を見て同情なのか

今まで私に否定的な言葉しか

発しなかった親達が動き出しました。

元々単身赴任で海外に行っていた父親が

やっぱり家族と過ごしたいと言い出したのを

きっかけに家族みんなで海外へ移住することに決まりました。


移住計画が決まり、私の心も少し軽くなりました。


だって


"この状況から離れられる"

"この苦しい日々から逃げられるから"


この計画が決まったのが

ちょうど中2の二学期の終わり頃だった。

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