第10話

「これ、豚の生姜焼きあるよ」

ビビンバが椅子に座ったわたくしに

どこにでもあるような料理を

お出しになりました。

「これ、ただの豚の生姜焼きみたいだけど?」

わたしは食い下がった。

「食べてみればわかるあるよ」

ビビンバは嫌に自信ありげだ。

わたしはお箸で一口、生姜焼きを

食べた。

「おいしい」

たしかにおいしかった。

今まで食べたどんな生姜焼きよりも。

しかしどうということはない。

何も変わらないのだ。

「あのーーーーーーーーっ、なんにも

変化がかんじられないんだけど」

「五分たてばわかる」

ビビンバが腕組みしながらそう囁いた。


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