仕掛けてきた3バカ
週が代わり、新たに月曜日となった。僕はいつも通り学校に登校する。
先週の土日は土砂降りの大雨が降っていた。外に出かける事こそ出来なかったが、しかしそのおかげで僕は葵さんとたっぷりスマホゲーの協力プレイを楽しむ事ができた。
本当に彼女とゲームをするのは楽しい。最近では彼女とゲームをする時間が1番の楽しみになっていた。
「どうした? 最近の生人、たまに顔がニヤケてるぞ」
正平にはそう言われた。でも自分でも何故こんなに楽しみなのか分からないのだ。
…今日も昼休みに協力プレイできるといいな。僕はそう思いつつ、退屈な授業を過ごした。
○○〇
そして待ちに待った昼休み、僕は鞄の中に入れてある財布を取り出そうと鞄のジッパーに手をかけた。しかし…。
「おいコラァ陰キャ! ちょっと待て!」
「は?」
鞄を開けようとした瞬間、僕の鞄は木島にひったくられた。木島は鞄のジッパーを勝手に開け、手を入れて中身を探り始める。
「何するんだ! 返せよ!」
「うるせぇ! この下着泥棒が! みんな聞いてくれ! この陰キャは葵の下着を盗んだんだ!」
「はぁ?」
木島は僕のカバンを漁りながらクラスのみんなにそう言いふらす。彼の言葉にクラスメイトたちが「何事か?」とこちらを向いた。
意味が分からなかった。下着泥棒…? どうして僕が葵さんの下着を盗まなくてはならないのか?
「訳の分からない事を言ってないで鞄を返せよ!」
「言い訳すんな! 証拠はもう挙がってんだよ。観念しろ! ほら、これがその証拠だ!」
木島はそう言って僕の鞄の中から女性用の下着…俗に「ブラジャー」と呼ばれる物を取り出した。薄い青色をしたカップの大きなブラだ。
僕はそれを見て動揺した。何故あんなものが僕の鞄の中に入っているのか? お母さんのが間違えて入った? いや、週末に鞄の中を整理した時はあんなものは入っていなかったし、お母さんは触れてもいない。だとしたらどうして…?
「本山君、女性の下着を盗むとは感心しないね。これは由々しき事態だよ」
「やっぱりこの陰キャは犯罪者なのよ! みんな、こいつの言う事は信じない方がいいわよ! あぁ…気持ち悪い。そりゃ救命行為と言い訳して私にセクハラするわね!」
海野茜と清川も木島と一緒になって僕を責め立てる。彼らはニヤニヤしながら僕を見下ろしていた。
僕はそこで「ハッ!」と気づいた。この3人が関わってきているという事は…これは僕を貶めるための罠に違いないと。
こいつらは僕を貶めるために女性用の下着を鞄の中に仕込んでおいたのだ。
ついに仕掛けてきたか…。
仕掛けてきたのならば僕も容赦はしない。こういう時のためにクラスメイトたちにあらかじめ「根回し」をしておいたのだ。僕は他のクラスメイトたちに「こいつらの言う事は信じるなよ」と目線を送ってアピールした。
だが実際に鞄の中に下着が入っていたのは事実だ。それ故にクラスメイトたちもどちらの主張を信じればいいのか迷っている様だった。
…この状況をどうやって切り抜けようか?
僕は思考を巡らせる。…冷静に対処しなければ。ここで僕が動揺すると彼らの思うツボだ。
待てよ…? 彼らの主張には大きな矛盾がある。そこをついてやれば…。
「正平、申し訳ないけど隣のクラスにいる葵さんを呼んできてくれないかな?」
「あ、ああ…」
僕は冷静にそうお願いした。まずは葵さんから話を聞かないとな…。
○○〇
「どうしました本山君?」
葵さんはすぐにやって来た。僕は事情を説明して葵さんにそのブラジャーを確認して貰う。
「えっ、私のブラ? わわっ…/// なんでそんな所に? とっとと返してください気持ち悪い!」
葵さんは木島の手の中にあるブラを慌ててひったくるとそれを服の中に隠した。
「お姉ちゃん、一昨日ブラが失くなったって言ってたわよね? こいつが盗んだんだわ! この陰キャチー牛はやっぱり犯罪者だったのよ!」
海野茜が僕の方を指さして罪をあげつらう。
「葵さん、確認なんだけどそのブラは葵さんの物で間違いないの?」
「おそらく…そうだと思います。ブラの側部にあるシミが一昨日無くなった私のモノと同じところにありますし…色も一緒です」
なるほど。つまり彼らは一昨日葵さんのブラを盗み、今日僕が席を離れている隙に鞄の中に仕込んでおいた…と。
僕たちを仲たがいさせようとする作戦だろうか。でも…その手にはのらない。
「ほらみろ! そのブラは葵の物じゃないか! こいつは葵のブラを盗んだんだ! とんだ最低野郎だ! 葵、こんなゴミクズ犯罪者陰キャチー牛なんて捨ててこっちに来い!」
「本山君…君が性欲旺盛なのは理解できるが、犯罪行為に手を染めるのはいただけないね」
「これでもうあなたは終わりね陰キャチー牛! さぁ! この犯罪者をクラスから追放するわよ! ついでに警察も呼びなさい!」
木島と清川は僕の事を睨みつける。そして海野茜は自信満々に僕の罪を告発する。
だが彼らは気づいていないようだ。自分たちがとんでもない墓穴を掘ったという事に。
さぁ、ここからが僕の反撃の始まりだ!
◇◇◇
次回、反撃開始!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます