5.協力

 私も進まないといけない。学園のためだと努力はしたつもりだ。しかし全国には、未知の強さを持つもので溢れ返っている。


 女だと舐められてはいけない。私は、高橋七伎。全国の君主を倒し、いずれ日本を統べる王となる。


「九州には、大友や島津といった名の知れた大君主たちが燻っている。そして忘れてはいけないのが、龍造寺鷹春という狡猾な男だ」


「質問いいか?」


「何だ?」


「何で、征夷なんとかが死ぬと争いが起きるんだ?」


 フッと高橋は、少しばかり口角が上がり笑った。


「顔に似合わず、ちゃんと話を聞いているんだな。意外と真面目か?」


「茶化すなよ」


「ああ、すまない。簡単なことだ。これは、跡目争いというものだが。そうだな、んーと。人は何故、美味しい食べ物を欲すと思う?」


「そりゃあ、美味しいからだろ」


「確かにな。じゃあ何故、一度はそれを食べたというのに再び美味しいものを求める?」


 質問の意図がわからん。何が言いたいんだこの女。


「お腹が空くからじゃないのか?」


「正解だ。その空腹こそ、エゴイズムの原点。人は誰しも欲望で腹を減らしているんだ」


「意味がわからないんだが」


「そうだろうな。人は見るべきものをみらず、気づきすらしないのだから」


 コイツの言うことは、何か引っかかる。どこかで同じようなことを言われた気がする。


「食欲、人は他の生き物の権利を奪い食べるということで生きている。何故、跡目争いが起きるのかについてだが、他者の権利を奪い自らの空腹を埋めるため。誰しもその座に就きたいのだ」


「お前もか?」


「その通りだ」


 高橋は頷き、肯定する。


「お前は、いま嘘をついた」


 高橋は、驚いたようで目を丸くして小田を見る。


「お前は、そんな野心のある奴には見えねー。そうしなければならない理由があるんだろ?違うか?」


「驚いたね、確かに私の目的は別にある。だけどすまないが、今は話せない」


「そうか、わかった」


 この男、簡単に納得してくれるんだな。


「その代わり、龍造寺鷹春の私が知っていることを話す」


「頼む、教えてくれ」


「わかった話そう。龍造寺鷹春の現在の拠点は、佐賀にあり。数多くの生徒を配下に置き。君の幼馴染みの真壁花夜まかべかやは、奴の駒として前線に行かされている」


「前線?」


「長崎の君主、有馬ヘナの討伐だ」


「そこに行けば会えるのか?なら、俺は行く」


「お前一人で行ってどうする。死ぬぞ」


「だったらどうしろっていうんだ」


「話は最後まで聞け。我々は、有馬ヘナの救援へ向かう。お前たちも来るか?」


 高橋の目的は、考えてもよくわからない。しかしこのチャンス逃すわけにはいかない。

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