4.本気
双子のもう一人、赤髪は慌てた声を立てる。
「
「喧嘩の最中によそ見するなんて、遠慮なく隙を突かせてもらうわ」
腹部に立花の鋭い突きが炸裂し、赤髪はフェンスまで吹き飛んだ。
「
ピンク髪の怒りの声が上がる。
そこへタイミング良く、ある人物たちが屋上へ現れた。
「小田様ーッ、どこですか?」
「姉御、こちらにいらしたのですね」
オーバーコートを身に付けた大きな目の少女、両手には銃らしきものを所持している。
「ここに
太陽の下に照らされる彼女の肌は白く、青みがかった緑の髪を揺らす。
長い棒を抱え、茶髪の切れ長の目をした少女、制服を正しく着こなしている。肌は小麦色に焼け、その眼は殺気を放っている。
なるほど、コイツが小田の子分の
登場した二人を他所に戦いは続く。
陽葵は、素早いステップで小田との距離を詰め、ジャブを打つ。躱されるのは予測している、そこで視覚の外からのフックとアッパー。ジャブとストレートで反撃の隙を無くす。
小田は、考えた。両手を抑えれば、俺の勝ちだと。いくら速いパンチングだとしても、これだけ見せられれば慣れるというもの。陽葵の両手を掴み、鳩尾を蹴り上げた。
陽葵は、胃液を吐き出して、地面に伏して動けなくなった。
「お見事ッ」
迫視は、手を叩いて小田を称賛する。
陰菜は、テコンドー選手である。どんな体勢でも足技を打てる。対して立花は、小田と同じ単なる喧嘩屋である。
武術の経験などない。
先ほど打たれた突きのせいで、上手く力が入らない。さて、どうするか?
先に動いたのは、立花だった。テコンドーの射程に入り、横蹴りを体を捻って躱し。しゃがみこんだかと思えば、まさかの蛙飛びアッパーだ。
陰菜の体が衝撃を受け、後ろ方向へ倒れる。
「流石、姉御」
「来るのが遅いのよ、誾傘」
「すいません。で、何ですか!この状況?」
「私が聞きたいくらいよ」
高橋七伎は、妹たちを一瞥すると、ため息を吐く。そして勝者を称賛する。
「良き戦いだった。こんな試すようなことをしてすまない」
「お前の目的は何だ?」
「疑問に思うのは当然だろう、しかし今後のことを考えれば、必要なことだ。単刀直入に言うが、この国は間もなく乱世に入る」
「何ですってッ!!」
乱世って何だ?隣の立花は、納得しているようだが。さっぱりわからん。
「征夷大将軍、足利東山が死んだ。国は混乱に陥り、それに乗じて、各県の学園の君主が動く」
「国盗りが始まるってわけですね」
迫視のその一言に頷く高橋、俺だけ意味がわかってないようだ。
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