3.鉄釜

 早く制服を取り戻さなければならない。半裸で校舎内を走り回る、こんな格好で必死な俺、小田応和一生の恥だ。


 しかしいくら探しても見つからない。制服は、一体どこにあるんだ?


 校舎内は大体探した。あとは、部活棟とグラウンド。外靴に履き替えて、グラウンドを横切る。ふと校舎に目を向け、そして屋上に視線を上げると。国旗のようなものが掲げられており、俺の制服じゃねーか!!


 ふざけんなあの女、屋上に人の制服吊るしやがって。上履きに履き替え走る、通りすがりの男女から笑われた。この学園にきて、何一つ思い通りにいかない。


 こんなことは、初めてだ。手も足も出ない相手、だけどわかったこともある。強くなるには、やっぱり実戦が一番だということ。早く、もっと強くならねばならない。


 そうしないと決して取り戻せない。


 階段を駆け上がり、屋上のドアを勢いよく開ける。するとそこには、高橋七伎と立花小柚、それと二人の女学生いた。


 この二人の女学生は、高橋七伎と顔がよく似ている。一体何者なのだろうか?


「遅かったじゃないか」


「煙と何とかは、高いとこが好きってな。俺をこんなとこに呼んで何の用だ?」


「貴様、お姉さまを馬鹿にしているのか?」


「だったらどうするってんだ?」


「殺す」


「いいね、わかりやすい。受けて立つ」


 殺気を飛ばす女学生、それなりにデキるようだ。


「まあ待て、話が早いのは助かるが。実は、この双子は、私の妹でな。お前たちと同じ一年生だ」


「だからどうしたんだよ」


「そこで一つ頼みがある」


「頼み?」


「お前と立花小柚で、妹の相手をしてくれないか?妹たちは、多少腕は立つようだが、なにぶん実戦経験がなくてな」


「嫌だね、俺は喧嘩の相手は自分で選ぶ」


「そうか…なら、取引きといこう。君の欲しい情報を、私は持っている」


「何の話だ?」


「龍造寺鷹春と言ったらわかると思うんだが」


「お前、何を知って」


「君は、そのために引っ越してきたのはわかっている」


「わかった。やる」


「立花ちゃんもOKね」


「構わない」


 そういえばこの双子、制服改造してチャイナ服みたいになってる。でもスリットあるから動きやすそうではあるな。私も制服を改造してみようかな。


「じゃあ早速始めようか」


 高橋七伎は、待ちきれないといった様子でわくわくしているようだ。しかしそんなことよりも、重要なことがある。


「おい、その前に制服返せよ!」


「ああ、そうだったな」


 制服を取り戻した俺、ようやく落ち着いた。


 そして始まった喧嘩の初手は、双子のピンク髪が動いた。ピンク髪は、ボクサーのようなポージングで、鋭いジャブを放ってくる。


 ジャブを躱した俺に、更なる追撃。膝を狙った蹴りが迫るが、足を両手で受け止めて、そのままの勢いで投げ飛ばす。

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