帰郷の迎え
銀嶺が久々に地元に帰ると実家に連絡した時、迎えを寄越すと電話口の父親である当主が言っていた。
そして実家である山の社の玄関口である故郷の駅のロータリー前には車が止まっていた。
駅から銀嶺が出てきたのに気付いたのか車の後部座席から何かが飛び出して来た。そして銀嶺に衝撃が伸し掛かる。
「お兄ちゃーん!! お帰りー」
「お、紫里か。久しぶりだな」
女の子の形をした末妹の紫里はそう言いながら銀嶺に向かってタックルのような抱擁をけしかけてきた。
銀嶺は身体がそれなりに鍛えられたような体躯をしており地力があるので衝撃に耐えて受け止められたが、軟弱な人間ならそのまま地面に伸されていただろう。下手したら頭打って死んでいるかもしれない。
二人がそうこうしていると運転席からゆったりと杖をついたスカートのそれなりの歳の美女が歩いて来た。
それなりの年齢とは言うものの、銀嶺の母親と考えると恐ろしく若く見えるだろう。
「紫里ー、疲れているお兄ちゃんに無理させちゃダメよー」
「はーい」
二人の母親である楓の声に紫里はタックルをやめて銀嶺から少し離れる。
「お迎えって紫里とお母さんだったのか」
「久しぶりね、嶺ちゃん。皆が待っているわよ」
「……お久しぶりです、そして只今帰りました」
そう言って銀嶺は霊峰の山の社へ帰っていくのであった。
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