第4話

『ふむ、なるほど、バラバラに飛ばされるのか』

「あっプラチナオウカブトさん居たんですね」


居ないかと思ってビビりましたよ、あなたが居ないと雑魚なので死ぬんですよ……


『名前呼び辛いだろう?カブトでいい』

「じゃあカブトさん、バラバラに飛ばされるってどういう事ですか?」


『ん?どういうも何も……そのままの意味だ、それぞれこの世界の別の場所に飛ばされたのだ』

「えっ?でも普通に一緒に居ましたよね?」


滅茶苦茶近いとか?それともタイムラグ?


『いや、あれは私がこちらに飛んで来ただけだ』

「えっ……でも音とか風とか……」 

『転移だからそういうのは無いと思うぞ』


転移ァ!?嘘ぉ!?やばすぎだろ!?


「えっと、じゃあどれくらいの距離を……?」

『確か海を隔てて別の大陸に移動はしたな』


遠いな、本来なら合流ほぼ不可能じゃん

……いや転移範囲でっっっか!?!?


「あ、そうだ!クリア条件は……」

『私の場合は魔王軍の壊滅、竜王の擁立、勇者の持つ聖剣を奪うだったな』


「あー、俺は魔王、竜王、勇者の殺害でしたねとりあえず各陣営を探りつつそれぞれ悪人なら殺すって感じで良いですかね?」

『そうだな、基本的に魔王、場合によって竜王と勇者を目標としよう……まぁ勇者は最終手段だな、確実に私だけ条件を満たす』

「え?そうなんですか?」



竜王は擁立だから直接的に手を貸さないと反応しないと思うけど……聖剣もそんな感じじゃない?


『私は問答無用で相手の武器を奪ってしまうスキルを持っていてな……』


「あー、なるほど、ならとりあえず、魔王軍の所行って見ましょうか」

『そうだな、まずはそれぞれの陣営を見て回ろう』


ーーー


「クソっ!貴様が!貴様が役立たずのせいで!私に恥をかかせやがって!死ね!死ね!」

「うあ……ごめんなさ……ゲホッ!ごめんなさい…許して、お父さ……」

「ゴミが!私を父と呼ぶな!まだ私に恥をかかせたいか!」


『なるほど、殺して問題はないらしい』

「ですね」


「!?貴様ら何……」


バンッ!!!


大きな音と共に、魔王の体が消滅する

一切の痕跡を残さぬ死であった


「あっ、ご飯……」

『む!私とした事が……怒りで我を忘れていたらしい……仕方ない、次の世界で……ん?』


「あれ?条件達成して……ない?」

『出来ていないらしい』


「あっ!そうだ!魔王の"殺害"!カブトさんが殺しても意味ないわ!!!」

『ぬっ!?そうか……そういう事であったか……』


「神様と……お兄さんが、助けてくれたの?」

『……まぁお陰でこの子を一人にせずに済んだと考えよう』

「そう、ですねぇ……」


ーーー


「どうします?これ無理じゃありません?」

『……いや、私が相手を瀕死にすれば問題ない』


あー、なるほど、俺にトドメを刺させる訳か

それなら行けそうだ


「じゃあ勇者は無理なので……竜王ですか」

『そうなるな、だが先ずは何処かの集落に行こう』

「あっそうか!先ずは飯と水!」

『そうだ、直接ワープしたりするわけにもいかないからな、近くにワープして歩いて行こう』


あー、確かにワープ出来る事がバレたらやばいかも

……いや、むしろヤバくはないけど面倒な事になるだろうなぁ


「了解で……あれ?カブトさんに乗れば……」

『速すぎて間違いなく振り落とすからできんな』

「まじすか……」


つまり楽はできない訳だ、クソが

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界転移は運試し 龍百 @ryu_100

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る