三
「おはようございます、ボス」
「……ん? おはよう」
学校に到着すると、まだ練習開始のだいぶ前だというのに何名かの部員が既に登校していた。ほとんど三年生なのだが、一年生も混じっているのは感心だ。
「ボス、寝不足ですか? 潜伏中の指名手配犯みたいな顔してますよ」
譜面台を組み立てている璃奈から軽口を叩かれる。
「どこから突っ込めばいいんだよ!」
俺が怒鳴ると、璃奈は組み立て終わった譜面台を持ってケラケラ笑いながら逃げていった。小学生か。
「おはようございます」
朝から賑やかだなと遠い目をしていたら、急に背後から挨拶が飛んでくる。
「お前、そのアサシンみたいな動きマジでやめろよ」
足音もなく現れたのは玲香だ。
「あのさ。なんでもいいとは言ったけど『ボス』って柄じゃねえだろ」
聞くのも嫌になるが、俺の呼称が決まったのだろう。浸透するのが早過ぎるのは謎であるが。
「昨日の夜にグループチャットでアンケートを取って決めました」
「文字数減らすためにどれだけ行動力を費やしてんだよ!」
「ちなみに他の候補は、先生、コーチ、秋村などでした」
「おい、最後にしれっと非常識なのが混ざってるぞ」
「よろしくお願いします、ボス」
「せめて『コーチ』にしろ。嫌なら『秋村さん』でいい。これは命令だ」
「えー」
玲香は不服そうに声を上げたが無視する。指名手配犯呼ばわりされた俺の呼称が『ボス』だと、それはもうマフィアとか武装組織の首領と同義である。
「いや、三年生は似たようなものか……」
「はい?」
「なんでもねえよ」
ため息を吐いて音楽準備室へ向かおうとすると、玲香も後ろをついてきた。
「ん?」
なんの用かと思ったが、単純に楽器を取りに来ただけのようだ。
「あの、ゴールデンウィークは始まったばかりですよ? どうしてもうそんなにやつれているんですか?」
珍しく心配そうな顔で尋ねられる。
「ああ。自由曲のCDの録音作業で、ほとんど寝てないんだ。廊下の隅に置いてある段ボールに全員分あるから、後で配っておいてくれ」
俺が言い始めたことなので、早急に対応するのは当然である。
「そういうことなら私達にも言ってくださいよ。手伝いますから」
「気持ちだけ受け取っておくよ。それに、不健康そうな顔は生まれつきだから気にするな」
「でも……」
言い淀む玲香の様子に、珍しく本当に俺のことを心配しているのかと思い少しだけ胸が痛む。
自宅から持ってきた荷物を置いて一度部屋から出ると、楽器と譜面台を抱えた玲香も俺に続いた。
「お前らがこれまでどれだけ練習に打ち込んできたか、音を聞けばわかるよ。だからこそ、休める時はしっかり休んで欲しいんだ。それに、時間があることこそ無職の特権だろ? そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
諭すような俺の言葉に、玲香は黙って頷いた。
「そんなことより、もっと憂鬱なイベントがあるから顔に出ていたのかもな」
「憂鬱なイベント?」
「ああ。お前らの担任に呼びつけられたんだよ」
昨日絵理子から届いたメールの件だ。
「絵理子先生ですか? いったい何の用でしょ、う……?」
「ん?」
いきなり歯切れが悪くなった玲香の言葉に不自然さを感じて表情を窺うと、どことなく目も泳いでいる気がする。
「それがさ。『明朝、第三職員室』としか書いてなかったんだ。果たし状かよ。決闘でもするのかな」
「そんなことに、なったら、瞬殺され、ますね」
「ボスがそんな簡単にやられていいのか?」
というか、どうして言葉がぶつ切れなのだろう。
「まあ、普通の業務連絡だとは思うけど。再会してから呼び出されたことなんて無いから怖いんだよ。コーヒーが出てきたら気をつけないとな。毒でも盛られてるかもしれん。ははは――」
「――そんなまどろっこしいことしないで、心臓を一突きすればおしまいじゃない?」
「ぎゃあああああ」
耳元で殺人鬼みたいなセリフを吐いたのは、まさに絵理子その人であった。
「え、絵理子先生、おはようございます……」
「はい、おはよう」
教師とは思えない迫力に、さすがの玲香も少し怯えている。俺の肩越しに絵理子の姿が見えたから様子がおかしくなったのだろうが、気がついたなら教えて欲しい。おかげで寿命が縮んだ。
玲香はそのまま軽く会釈だけして練習に向かってしまった。これでは絵理子の方がよっぽどボスではないか。意味合い的には、上司ではなくて、敵の親玉の方がしっくりくるけれど。
「……お前、なんでこんなところにいるんだよ」
ようやく落ち着いた俺は、恨めしげに絵理子を見つめる。
「こんなところも何も、吹奏楽部の顧問なんだからおかしくないでしょう?」
「じゃあなんの用だよ」
「あなたが全然来ないから様子を見に来たの。そうしたら、生徒に向かって平気で悪口をべらべらと喋るバカがいたのよ」
「そのバカに向かって本気の脅迫をする教師もたいがいだろ。玲香がドン引きしてたじゃねえか」
廊下に出たばかりだが、俺はもう一度音楽準備室の扉を開ける。まさかここから四階まで同行しようなどとは言い出さないだろう。
「何してるの? さっさと行くわよ」
「は?」
「第三職員室って言ったでしょ」
この女はやっぱり狂人かもしれない。
「なんでだよ。ここでいいだろ」
正当な権利の行使とでも言わんばかりに反抗すると、絵理子はガラクタを見るようなひどい目つきで俺を睨んだ。
「お客さんが待ってるのよ」
「客?」
そんなこと一言も聞いていない。発明当初の電報みたいなメールの文面しか受け取っていないのだから当然である。
「とにかく来て」
が、絵理子は有無を言わさず廊下を歩き出してしまった。ただでさえどんな話をされるのか恐々としていたのに、誰かもわからぬ客までいるなど想定外だ。それに、まだ時刻は八時半である。絵理子が呼んだのか、客が押しかけたのか知らないが、いずれにせよ失礼な話だと思う。
うだうだと考えていたら絵理子が廊下の角を曲がった。姿が見えなくなって、ようやく俺も覚悟を決めた。あまり遅れて行って、本当に毒でも盛られたら洒落にならない。
♭
意外にも絵理子は早足であり、四階に到達する頃には俺の息が切れていた。
「そんな体力でこの先やっていけるのかしら。ああ、そういえばあなた栄養失調だったっけ」
「お前が早過ぎるんだよ」
絵理子の毒舌に付き合っていたら精神力まで削られそうなので適当に返事をする。
「で、客って誰だ?」
ずんずん歩く絵理子のせいで道中に質問すらできなかった。信じられないことに階段は一段とばしだったし。生徒ですらもう少しお淑やかだと思う。
「入るわよ」
俺の問いは完全に無視しながら、絵理子は第三職員室の扉をノックする。目的地に到着してしまっているので、直接確認した方が早いというのは言われなくてもわかるが、こちらとて心の準備というものがある。
しかし絵理子は容赦無く扉を開けた。入室した彼女に続き、俺も恐る恐る室内へ足を運ぶ。
「――こりゃ驚いた。本当に生きてたんだな」
俺の顔を見るなり、普段絵理子が座っているくたびれた回転椅子に腰掛けた男が声を上げた。
「お前……もしかして京祐か?」
「もしかしなくても、見ればわかるだろ」
身長は世の男性の平均ほどだが、がっちりした体格が存在感を醸し出している。人の良さそうな丸顔と黒縁メガネが印象的な、俺の同級生――
「絵理子から聞いた時は、まさかと思ったけど……。同級生の中では、いちばん有り得ない人物だからね」
「有り得なくて悪かったな」
俺が後ろ手に扉を閉めると、京祐も椅子から立ち上がった。悲鳴のような金属音が鳴ったのは言うまでも無い。絵理子ですら鳴るのだから当然だ。彼女が重いとか、そういう他意は無い。
「お前、絵理子に消されたいのか?」
不安そうに京祐が聞いてきた。また顔に出ていたのだろうが、第三者にまで悟られるとは情けない限りだ。
「え、何?」
幸い絵理子は俺のことが視界に入ってなかったので、大事には至らなかった。それにしても消されるってなんだ。
「で、どうしてお前がこんなところにいるんだ?」
京祐に尋ねられたが、全く同じ質問を俺も彼にしたい。
高校時代、チューバを担当する京祐は低音パートのリーダーを務めていた。体格からしていかにも「チューバ吹いてそう」という感じなのだが、その通りである。また、温厚な性格で争いを好まないというのも、顔を見たままの印象だ。俺の退部に関わる騒動の際、同級生は基本的に俺を庇う者が多かったのだが、言わずもがな京祐も最後まで味方をしてくれた。
……だからこそ気まずい。
「成り行きで、吹奏楽部の面倒を見ることになって」
「なんじゃそれ」
「絵理子から何も聞いてないのか?」
「いや、だいたいは知ってるけどさ。本人に聞いたらどう返ってくるかなと思って」
にこにことした口元は崩さないまま、京祐が答える。性格は良い奴なのだが、少々面倒臭いところがあるのは変わっていないようだ。
「成り行きで、なんて、あなたにとってはその程度のことなのね」
もう一人面倒臭い奴がいた。それも、京祐とは比較にならないほど強烈なのが。
とりあえず俺は空いている椅子に座る。休暇ということは、非常勤職員しかいないこの部屋は絵理子の城である。
「絵理子は相変わらず尖ったナイフみたいだなあ」
セリフとは裏腹に穏やかな口調で京祐が指摘する。こんな温厚な男からも凶器扱いされるなんて救いようの無い女だ。
「お前も狂犬みたいな見てくれは変わらないな」
俺も救いようが無かった。
「まあ、元気そうで何よりだよ」
ナイフ女と狂犬男のどこが元気なのかと思うが、嘘をつく男ではないので本心なのだろう。そうだとすれば、俺には一つの疑問が浮かんだ。
「……お前も、俺のことを憎んでいるんじゃないのか?」
ちらりと絵理子を見ながら尋ねる。彼女ほどの敵意は無くても、少なくとも面白くはないはずだ。
だが、そんな俺の予想を覆し京祐は大声で笑い始めた。
「お前、そんな殊勝なキャラじゃなかっただろ。メンヘラかよ」
それは暗に絵理子がメンヘラだと言っているのでは……。いや、事実か。
「でも、間違いなく俺のせいでバラバラになっちまっただろ。なんの相談も無く逃げ出した訳だし」
弁明することが自傷行為になるという矛盾に嫌気が差す。
「当事者のお前だって、ある意味被害者だろ。刺されてるしな。それにお前、ずっと引きこもりだったんだろ?」
「……ああ」
肯定することしかできない。どうせろくでもないことしか言われないのだから、あれこれ言い訳したって無意味だ。そもそもまともな言い訳すら無い。
「そうか……。すまなかったな」
「……は?」
意味のわからない言葉が飛んできて、俺は狼狽する。
「俺も、絵理子以外の同級生達も同罪だよ。お前が現れるまで、誰もここに訪れた者はいないんだ。ただ一人、事故に遭う前の楓花を除いてな。吹奏楽部が今の状態になるまで放ったらかした俺達が、今さらお前だけを責められるかよ」
これまで、同級生は絵理子しか接していなかったので、京祐の言葉はあまりにも意外であった。意外を通り越して、驚愕とも言うべきか。
「やめてくれ。元を正せば俺のせいであることに変わりはない」
「じゃあ罵倒すればいいのか? 俺のキャラじゃないよ」
苦笑しながら京祐は続ける。
「お前が吹奏楽部に戻ってきているのに、黙って見ていろというのが無理な話だ。それに、絵理子から頼まれたこともあるしな」
彼の言葉に、俺ははっと顔を上げた。そういえば、どうして彼がここにいるのか目的を聞いていなかった。
「絵理子が呼んだのか?」
「そうね」
俺が問い掛けると、絵理子はまるで他人事みたいな返事をした。
「今の吹奏楽部で、いろいろ演奏機会を探しているんだろ?」
言葉足らずの絵理子の代わりに、京祐が核心に触れる。
「ああ。ちょうど昨日、絵理子にその件を頼んだところだ。今の吹奏楽部の状況はおおよそ知ってるんだっけ? あいつら半年以上も舞台に立ってないんだ。コンクールまでに少しでも人前で演奏する経験をさせておきたいと思って」
「急に饒舌だな」
冷静な京祐の指摘に言葉が詰まる。
「そういうことなら俺に任せろ。もっと前に言ってくれれば、ゴールデンウィークのイベントに出演できたかもしれないが……。まあそれでも、二週間後のイベントは参加できるだろう」
スマホを操作しながら、京祐は簡単に言い切った。
「お前、なんでそんなことがわかるんだよ」
「わかるも何も、俺が主催者にお願いしてみる訳だからな」
余計に混乱する。京祐の家は一般家庭で、この辺りの有力者ではないはずだ。それとも、成長した彼がそういう立場になったのだろうか。
「京祐は、新聞記者なのよ」
俺の様子を見かねて絵理子が答えを述べた。最初に言って欲しい。
「地方紙の文化欄っていう、しがないポジションだけどな」
自虐するわりに、京祐は楽しそうだ。
「まあ、今の吹奏楽部にとってはラッキーな存在じゃないか?」
自分で言うのもなんだけど、と彼は頬を掻いた。
「イベント情報は網羅しているからな。毎年やっている行事なんかは主催者との面識もあるし。吹奏楽の演奏って、けっこう人気なんだよ。二、三曲だけやる客演的な出番なら、コンクールまでに何回か出演できると思う」
願ってもない言葉に、俺は震えた。
「それが本当ならありがたい限りだ……。何卒よろしく頼む」
「雨乞いの祈祷師に縋る村の長老かよ」
意味不明な京祐の軽口は無視し、俺は頭を下げた。
「ありがとう」
「おいおい、あの秋村恭洋ともあろう男が素直になったもんだな」
どう言われようと、今の吹奏楽部に協力してくれる者には感謝しかない。
「絵理子も。早速ありがとう」
「……無職に仕事を褒められても嬉しくない」
「お前は相変わらずだな!」
俺が声を荒げると、京祐は豪快に笑った。バンドの底辺を支えるチューバのように、頼もしい笑顔であった。
♭
ちょうど練習開始の時間となったため、俺は部員達に京祐を紹介した。もちろん、演奏会の件も連絡する。
朝のミーティングが終わったそばから、京祐は大人気だった。彼の人柄の良さそうな雰囲気が親しみやすいのだろう。たしかに、これまで登場した大人に比べればかなりまともな人物である。ヒステリー女と曰くつきの不審者という組み合わせがひど過ぎるということには触れないにしても、だ。
「黒星さん、あとでパート練習を見てください!」
とくに懐いているのが低音パートである。
「いや、でも恭洋が見てくれるだろう? あいつはだいたい全部の楽器が吹けるんだし」
「えー! でもやっぱり専門家の方がいいと思います!」
食い下がる部員達に、京祐は苦笑している。
「君達、恭洋が嫌いなのかい?」
そんなことストレートに聞くな。
「そういう訳じゃないけど……」
「恭洋と絵理子って、普段どんな感じなの?」
「それは、二人セットの時ですか?」
「うん」
「不協和音の、いちばんキツいやつ」
「はっはっは!」
「おいてめえら」
さすがに黙っていられず声を掛けると、部員達は蜘蛛の子を散らしたように練習へ向かっていった。
「お前も、なんだかんだ言って懐かれているんじゃないか?」
「どこをどう見ればそうなるんだよ」
俺は肩を竦めたが、先ほどの会話について深入りしてみる。
「実際、見てもらうことって頼めるのか?」
ふてぶてしい依頼であることは承知の上で尋ねると、京祐は珍しくバカにしたような目でこちらを見つめた。
「お前さ。世間話のためだけに、俺がこんな朝早くからやって来たと思っているのか?」
先ほどの職員室でのやり取りを世間話と括るのはいささか乱暴な気がするものの、たしかにそれだけならわざわざ来校することもないかもしれない。
「逆に、お前が見てもいいって言うなら手伝うつもりなんだけど。今の指揮者はお前なんだし」
「それは願ったり叶ったりだが……」
言うまでも無く京祐だって全国大会の出場メンバーなので、これ以上の役者はいない。
「でも、こんな連休の初日から悪いな」
「それはお前も同じだろ?」
「俺は吹奏楽部がなきゃ廃人だから」
「そういう卑屈なところも変わらないな」
俺の肩を叩きながら、京祐は少し寂しそうな顔をしている。
「まあ、俺も仕事が休みの日はお前と変わらんよ。一応、アマチュアバンドには入ってるけどな」
「彼女いないのか?」
「別れたばっかりだ」
「……なんかごめん」
急に重苦しい空気が立ち込める。
「……あなた達、何をしているの?」
不意に現れた絵理子が、虚しく立つ二人の男に声を掛けた。
「……そういえば絵理子は恋び――」
なんとなく話の流れで質問しかけた俺の口を、京祐の右手が鷲掴みにした。
「お前は本当に絵理子の神経を逆撫でする名人だな」
そんな無価値な称号はいらない。
「はあ? さっさと持ち場に行ってくれる? とくに恭洋は一刻も早く」
まるで意味を為さない差別が俺を襲う。
「なあ、あいつは俺のモチベーションを下げる達人じゃないか?」
「そんな無価値な称号、絵理子には不要だろ」
「……」
記者なのに全然中立じゃない。
「絵理子はパーカッションの面倒か?」
「まあ、そうね」
勝手に会話を進め始めた二人に、俺は動揺した。
「どういうことだ?」
「どうもこうもないわよ。京祐が低音を見るなら、私がパーカッションを見て何がおかしいの?」
楽器の移動が難しい打楽器パートは、基本的にずっと講堂で練習する。現に、紅葉や誠一郎達は既に基礎練習を始めている。だからここに絵理子がやって来ることはそうおかしなことでもない。
「あなた、打楽器なんて全然指導できないでしょう?」
「頼んでもいないのに、いいのか?」
「は? ありがた迷惑ってこと?」
「違うよ。昨日いろいろ頼んだばかりなのに、申し訳無いじゃないか」
「勘違いしないで。私は顧問としてできることをしようとしているだけ。それに、あなたの意味不明な指導に付き合わされるあの子達がかわいそうだから」
「……それはたしかにそうだな。じゃあ、よろしくお願いします」
俺が頭を下げると、絵理子は横を通り過ぎて行った。
「なあ、それにしたってあいつ、お前のことを嫌い過ぎじゃないか?」
本人には聞こえないように、京祐が囁く。
「なんでだろうなあ」
一応、俺の頼み事は聞いてくれている。再会した途端に果物ナイフの切っ先を向けられたことを思えば、協力してくれている以上は文句を言える訳も無い。
俺と京祐はそのまま講堂を出て、それぞれが指導するパートのいる教室へ向かった。
不穏を感じていたゴールデンウィークの始まりであったが、蓋を開けてみれば予想だにしない幸運が待っていた。俺が思っていた以上に、事態は幸先よく進んでいる。
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