だいじゅうろくわ 嫉妬
あの二人は今頃盛り上がってるんだろうなぁ
帰路につくとちょっと煽りすぎたかと後悔した。
「なんであとつけてんのー?」
後ろを向くと電柱に隠れられるわけないのに隠れようとしている子がいた
手にはカッターナイフ。脅しでもするつもりか?
「あ、あのっずっと前から好きでした!」
ナイフを持ってる割に素直な告白をするもんだ。
「へー、じゃあそのカッターナイフで自分のこと刺して血でも飲ませてよ。そしたら考えてあげる」
その子はギリギリまで手首に当てようとしたができなかった。
「そんな異常者だと思わなかった!!」
カッターナイフを地面にたたきつけると、その子は走って逃げていった。
異常者はどっちだよ。
いつもやんわり断るのに、今は苛立ちと嫉妬が止まらなかった。
「あぁ…やだな」
奈々を取られたとかさゆちゃんがうらやましいとか、そんなんじゃない
自分には何もない。そんなことを思ってしまうのだ。
二人とも好きだから、裏切るとかは考えてない。
でも、少しもらうくらいならいいのかもしれない。
そんな悪いことが頭をよぎる
欲しい。願わくば二人とも。
そんなことを考えながら徒歩圏内の家に帰る
ここも奈々と近くにと思って借りた物件だったな
孤独には慣れたつもりでいた
でもそこには奈々という存在がいたからだった。
通報しようなんて馬鹿な考えはない。
二人が幸せになってくれたらいい。
家について少しの寂しさと嫉妬を自分の中に感じた。
俺がいなくてももういい奈々は奈々じゃない。
矛盾した思考が頭を駆け巡る。
「頭いてぇ…」
頭痛薬を飲んだってたぶん解決しない。
この痛みは埋まらない感情の痛み
にゃーと飼い猫が寄り添ってくれる
「もう俺にはお前だけだよー」
横になると猫も横に寄り添ってきた
そういえばまだうちに呼んだことなかったな
今度二人を呼んでみよう
そんなことを考えながら、矛盾した気持ちをどうするか、俺は悩んでいた。
「二人とも、俺のものになっちゃえばいいのになぁ」
幼稚じみたことをつぶやいてみる。
そんなことにはならないのにいな。
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