だいじゅうにわ 親友

「おっひさー!」

久しぶりに智が来た。

「何しに来たんだよ、鬱陶しいなぁ」

「そんなこと言うなよ、来てほしかったくせにー」


智のウザがらみは毎回奈々がうざそうにしながらも楽しそうで私も嬉しい

そそくさとコーヒーの準備をする


「あーさゆ、こいつのぶんはいいから」

「そんなこと言うなよーさゆちゃんは俺を慕ってくれてるんだからさー」

二人に渡すと、智は私の頭を撫でた。

奈々がこんなこと許すのは、おそらく智だけだろう。


「どうよ、同棲は」

「楽しいよ!奈々はやさしいし。ちょっと貧血気味だけどね」

「奈々が優しいって、初めて聞いたなぁ」

「なんだよ、俺優しいって有名だったじゃん」

「サラッと嘘つくなよ…」

智もドン引きするぐらい奈々は嘘をよくつく

わかりにくい嘘もすぐわかる。本音と嘘が入り混じる時もよくある。


「っていうか、さゆちゃんはよく引かなかったね。痛いでしょう、それ」

かさぶたになった痕を撫でてくれる。

「え、これは奈々がくれたんだよ?嬉しいに決まってるじゃん」

「決まってるんだ…」

智は呆れたような、でもどこか嬉しそうな顔で頭を撫でてくる。


「智にすっかりなついたなー」

人をペットみたいに言ってくるのは嫌みのつもりだろう。


「奈々はご主人様で智はお兄ちゃん、そんな感じ」

「へー、あんまりお兄ちゃんになつくなよ、食われるぞ」

「智は私のことなんともおもってないでしょう?」

びっくりした顔で私をみる智

「ん?そんなことないよ?奈々が飽きたり何かしようもんならすぐ連れ出すから」

「そうならないように気をつけるよ」

意外と冷静なんだなーと思いながら、奈々を見るが、だいぶ殺気だっていた。

智はそんな風にみえなかったけど

「俺もこんなんだから独り身だしー?さゆちゃんなら俺のことも受け入れられるんだろうなぁ」

「お前も大概だもんな」

「2人まとめて俺のものにしてやってもいいけど」

「断る」


ふと奈々が智とそういう関係になっている妄想が頭をよぎった。

いい…よすぎる…

「ねぇ、ちょっと変な妄想してない?」

奈々にはバレバレだった。

「まぁ一時期変な関係にもなったけどな。」

「お、自分からばらすなんて奈々らしくないね」

「お前から言われるよりいいんだよ」

へっ!?

自分でも変な声が出たなと思った。


「奈々と智が…?」

「そう、気の迷いだよ」

「俺は結構よかったけどなぁ」

「うるさいなぁ」

ますます興味が湧いてきた。

「ねぇ、その話詳しく」

日も暮れてきた。もうすぐ夜になろうとしている。

「奈々がいいなら俺は構わないよ」

「いーよ、またメシ食ってけよ」

「やったー」


智は本当に楽しそうに、過去の話を始めた


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