だいごわ 怒り

あれから一週間。特に変わりはなくいつもの日常を過ごしている。

奈々は優しいし相変わらず血は飲まれるし、最近少し貧血気味だ。


「今日は出社日なんだけど、すぐ帰れるから。ちゃんと待てる?」

朝食の時にそう言われていたが、私もそろそろ外の空気がすいたくなってきた。


そっとドアを開ける何階かよくみえないけれど、高い。

エレベーターのほうまで歩いてみた。

ちょうど止まるみたいで、ここが5階だと知った。

「何やってるの?」

ここ最近私はこの人の声しか聴いてない

「奈々…」

真顔で、冷たい目で、私を見ていた。


手首を痛いほど捕まれる

部屋のほうにぐいぐいと引っ張られる

あぁ、私は何をされるのかな


部屋に戻されベッドに押し付けられる

すぐに首筋を噛まれる

痛くて痛くて耳鳴りがしてきた

口づけをしようとしてきた奈々を、私は初めて拒否してみた。

こんな時に、欲情したくないと思ったから。


すると首を絞めてにやりと笑う

限界だ、と思ったとき手は離された

と同時にすごい音がした。ぶたれたのだ。

「痛いよね?ごめんね。でも悪いことしたのは誰?」

「私です…」

奈々の手は少し震えていた

手を握り締めて

「大丈夫だよ。私は奈々と一緒になるの。」

机の上のカッターナイフを取り出して切りつけた

奈々は眼を見開き、すぐに私を口にした


それから私には片足に足枷がつけられた

家の中を移動するには十分なほどの鎖でつながれている

この鎖は奈々の精神安定剤。

私も邪魔だとは思わなかった。これで奈々が安心してくれるならそれでいい。


奈々はご飯を作らせてくれないど、コーヒーを入れるのは許可してくれている。

「奈々、どうぞ」

「ありがとう」

PC作業は大変そうだけど、ぜったい定時に終わって私にかまってくれる


「ねえ、奈々」

「ん-?」

「私のこと、殺してって言ったら殺してくれる?」


カタッとタイピングの音が消える

振り返ると眼だけ笑ってない奈々の笑顔

「当たり前じゃん。僕の手で大切にさゆを殺めるんだ」

作業を中断して私の頬を撫でる

「奇麗だろうな」

ぎゅっと抱きしめて、奈々は仕事にもどった。



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