だいさんわ かみあと

ここに来て初めての夜。変なことされるのだろうか

私は珍しくぼんやりとした頭ではなくなっていた


緊張、恐怖、嫌悪感、そんな言葉の感情は持っていなかった

ただただ、あの人は私に何かするのか

楽しみでもあった。だってあんなにすごい部屋を作るのだから。


大きなベッドに寝転がると、私はここで何をしているのか考えた

でも考えても浮かばない。仕事?友達?家族?言葉の意味は分かるのに、私は思い出せない。…のではなく拒否している。気がする。

今の私の頭の中は、何もない。あの人しか。


そうしていると、あの人が寝室に来た。

ふんわりと同じ匂い。にこにこして上機嫌そう。

「寝るよー」

あ、なんだ何もないのか。


布団に入る。部屋の電気が消える。


首筋に鋭い痛みが走った

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

お兄さんが思いっきり首筋を噛んでるのがわかった

血が出る

それをおいしそうに舐めるお兄さん


「刃物のほうがよかったかなぁ」


ぼそりとつぶやいたその言葉を聞き逃さなかった

でも自然と恐怖はなかった


「ごめんね、いたかったでしょう?」

「痛いけど、大丈夫」

「じゃあもっと頑張れるね」

にやりと笑ってお兄さんは肩に嚙みついた

痛い。本当はやめてほしい。でもやめてほしくない。

お兄さんがくれるものだから。


血を舐めるのに満足したのか、私の口の中にお兄さんの舌が入ってくる

でもおかしかった。今まで体験したことのない感覚

お兄さんはにやりと笑って舌を見せた


スプリットタン

本当に蛇みたいなんだなぁ


私が見惚れているとそれに気づいたお兄さんは私の指に舌を絡ませてきた

心地よさが子宮を疼かせる


「いいでしょ。これけっこう切るの痛かったんだよ」

たぶんお兄さんは私が疼いてることに気づいてる。わざと手を出さないんだ。

もう一度、舌を絡ませる。でも決して身体にはてをださない。

もどかしさが私に苦痛を感じさせた。ここに来て、初めての苦痛。


「じゃあ、おやすみ。愛してるよ」

「ん…」


このまま本当に寝るのかと疑ったけど、私はなかなか寝付けず、お兄さんは普通に寝てしまった。









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