○×クイズ
「さて!今年もやってきました全国小学生クイズ大会予選会!これに優勝すると、全国大会へ出場することができます!」
司会者の人の大きな声と共に、大会が始まった。
まずは○×クイズだ。
◯ゾーン、×ゾーン、答えだと思うゾーンへ移動する。
「第一問、パンダの尻尾の色は白である、◯か×か」
「第二問、シマウマの鳴き声は『ワン』である。◯か×か」
「第三問、世界で三番目に大きい国はカナダである。◯か×か」
次々出てくる問題に、匠馬はブドウを引っ張って◯ゾーンと×ゾーンを行き来する。正直、匠馬にとっては楽勝の部類なので、悩む必要もない。
これは簡単だな、そう思っていると、隣のブドウが、ちょいちょい、と匠馬の服を引っ張った。
「何だよ、ブドウ」
「つまんない」
不貞腐れた表情のブドウが、匠馬を睨んでいる。
「つまんないって何で?今のところ全問正解だぜ」
「だって。ほかのグループの子たちは皆相談しあって答え考えてるのに、匠馬は全然私に聞いてくれない。さっさと自分だけで決めちゃうもん」
「う……だって」
自覚はあったので、ついバツが悪くなる。
「ごめんごめん、次の問題は一緒に考えよう」
そう言いながらも、匠馬は、ブドウに相談するふりをしながら自分の決めた答えで進めてやろう、と思っていた。
「最終問題です!」
司会者の人が叫ぶ。匠馬は気合を入れた。
「現在発見されている冥王星の衛星の数は、5個である。◯か×か」
「やべ、全然わかんねぇ」
匠馬は呟いて頭を抱えた。
「ブドウ、わかる?」
一応、一縷の望みをたくしてブドウに聞いてみたが、ブドウはケロッとした顔で「わかんない」とだけ言ったので、匠馬はがっくりとうなだれた。
「ねえ匠馬、冥王星って何?衛星って何?」
「そこから!?あの、すっごく遠くにある星で……昔は太陽系惑星の扱いだったんだけど今は準惑星に……って意味わかる?」
「全然。惑星って何?」
「待って待って。説明してたら時間が無くなる。とりあえず考えよう。えーっと、確か冥王星って月より小さいんだよね……そんな惑星5個もあるかな……でも土星とかはなんかいっぱいあるし……」
ブツブツと一人呟く匠馬に、ブドウはケロッと言った。
「わかんないからさ、◯にしようよ」
「はあ!?何で!?」
「最後は◯で終わったほうが縁起がいいじゃん」
「はあ?」
とんでも理論に、匠馬が愕然としているうちに、司会者の人がカウントダウンを始めた。
「さて、正解まで……5、4、3……」
「ほら、早く」
ブドウに引っ張られて、匠馬は渋々◯に向かう。
「あー◯かなぁ。なんか×のような気もしてきた……」
「正解は!!◯です!!」
司会者の言葉に、匠馬は目を丸くして、ブドウはドヤ顔をした。
「まぐれだからな!いつも成功するとは限らないからな!!」
匠馬はなんだか悔しくてブドウにそう言い放った。
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