第14話 (異母弟の)ハーレム主人公フラグを立てたい
王妃様と宰相閣下との情報共有会の翌日、ネーベルと一緒に訪れたヒルト嬢から申し出があった。
「友人を紹介させていただきたいのです」
前日、王妃様から話を聞いていたから、相手はヘドヴィック・シェーネ・ハント゠エアフォルク公爵令嬢で間違いないだろう。
会うのはいいんだけどね、うん、まったく問題ないんだけどね、ただなぁバランスが悪いんだよなぁ。
同世代の知り合い、ネーベルを抜かすと全員女の子。
ヒルト嬢はネーベルに気があるようだから、除外していいんだけど、アインホルン公女は僕のざまぁフラグを立ててる相手だし、そこにきてハント゠エアフォルク公爵令嬢とくると、今度はあれよ、ハーレム主人公からざまぁされるフラグ立ちそうじゃないか?
ほら、よくあるよくあるで、主人公くんに近しい相手が最初ハーレムを形成していたのに、徐々にハーレム相手が離脱して主人公くんに取られて、ざまぁされる、あれよ。
つまりハーレム主人公のかませでざまぁフラグ、立ってるねぇ~。
おっかしいなぁ、コンヤクハキするバカ王子ざまぁフラグをなんとか折ろうとしてるのに、今度はハーレム要員NTRかませキャラフラグが立ってるのかぁ。
ちょっと黄昏れてしまう僕に、ヒルト嬢が気づかわし気に声を掛ける。
「アルベルト殿下、どうされました?」
「あ、何でもない。いいよ。で、えーっと、相手は誰なのかな?」
知ってるけど一応ね。
「ヘドヴィック・シェーネ・ハント゠エアフォルク公爵令嬢です」
「うん、わかった。いつにする?」
「次のアルベルト殿下にお会いする日にお連れしたいのです」
「いいよ。じゃぁそのように手配しておくね」
「ありがとうございます」
トントン拍子で決まっていく中、ネーベルが不思議そうな顔をして口をはさんでくる。
「あのよぉ、アル。ちょっと聞いてもいいか?」
「なに?」
「なんでハント゠エアフォルク様は公爵令嬢で、アインホルン様は公女なんだ?」
僕やヒルト嬢にしてみれば、何言ってるんだって感じだけど、ネーベルのような下位貴族出だとそのあたり、知ってる人と知らない人に分かれちゃう。
ネーベルの疑問はもっともなことで、普通、公爵家の令嬢は、そのまま公爵令嬢呼びで、公女って大公殿下の御息女に使う名称だ。
そう考えるとアインホルン公女は、公爵令嬢呼びになるはずなんだけど、そこはちょっと複雑なんだよね。
「アインホルン公女は、ラーヴェ王国の王位継承権を持ってるからだね」
「王位継承権」
「そう、王位継承権。先代の王姉殿下が降嫁したアインホルン公爵家には、継承権が発生してるんだよ。だから大公の子供でなくても、継承権を持っている限り、準王族と言ってもいい立場にいるから、他の公爵家の令息や令嬢と区別のために公子、公女呼びなわけ。ただし、アインホルンにある継承権は、イグナーツが国王に即位して子供が産まれたら、全部消滅することになってる」
王妃様がアインホルン公爵からの話を突っぱねたのは、現状、王族の子供は一人だけしかいないようなものだからだ。これじゃぁ、本当にイグナーツくんに何かあったら、直系が途絶える。アインホルンにある継承権は外せない。
一番いい方法は王妃様の第二子懐妊だけど……、無理だろうなぁ。王妃様はたぶん、イグナーツくん以外の子供を産む気が、最初からないんじゃないか? って言うか、ちょっと考えたくないんだけど、そもそも王妃様は国王陛下との間に子供を作る気があったのか?
この辺がどうもねぇ……。いや、この件については掘り返すと危険な気がするぞ? やべーものには蓋をして埋めておくほうがいい。
過ぎた関係にあれこれ言っても仕方がねーから、前向きに話を進めたほうがいいのだ。差し当たって、イグナーツくんにはたくさん子供作ってもらわにゃならんってことで、やっぱりハーレム主人公を目指してもらいたい。
可愛い女の子をかき集めてイグナーツくんに侍らせるしかねーな。本番は学園に通い始めてからになるかな?
「アル、お前さぁ、イグナーツ殿下に無茶ぶりすんなよ」
ぎくぅ。いや、無茶ぶりじゃないよ? ラーヴェ王国の将来のためには必要なことなんだよ。女の子苦手とか、ぐいぐい来る女の子が怖いとか、そんなこと言ってらんないの。むしろそういう女の子を問題なくあしらえるようになってもらわないと。
そりゃぁ無理やりくっつけたりおせっかい焼いたりするのは、余計なお世話だけど、出会いの場を提供するのはありでしょう? いきなり会わせる気はないよ? まずお薦めできるかどうか確認してからにするからね。
ヒルト嬢の話から翌々日。
シュトゥルムヴィント宮に、ネーベルとヒルト嬢以外の客人がやってきた。
男装の麗人っぽいヒルト嬢や、令嬢の中の令嬢って感じのアインホルン公女とは、また違った趣のご令嬢。
種類的にはアインホルン公女と同じ分類になると思うんだけど、あっちが静ならこっちは動といった、快活さが前面に出ているご令嬢だった。
ピンクゴールドの髪に瑠璃色の瞳をした、これまた麗しい容姿のお嬢様は、出迎えた僕にこれまた元気のいい挨拶をしてくれた。
「おーほほほほほ! お初にお目にかかりますわ、第一王子殿下! わたくし、ハント゠エアフォルク公爵が三女、ヘドヴィック・シェーネと申しますの。どうぞ、ヘッダとお呼びになってくださいませ」
キャラ濃ゆっ!
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