第三章 二節
「ら~ら~、ら~」
鼻歌が浴室から聞こえてくる。
曇った歌声は明るく楽し気に聞こえるが、実際主が浸かる浴槽は処女の血に満たされていて、ドロドロと赤黒く常人では考えられない程常軌を逸していた。
外で待つ使用人達は、血の臭いでむせながらも静かに目を付けられない様に空気を殺していた。
実にこの城には、600人を超える少女達の死体が埋まっている。
彼女を告発しようにも、ドロニカ家の権力が大きく太刀打ちできないのが現実だ。
陽が落ちるといつもの日課が始まる。
血の浴槽から出た彼女は、鉄の臭いを残しながら地下牢へと足を向ける。
可哀そうに、と地下牢にいる名も知らない少女に同情を抱く。
使用人達はせっせと今夜も血を洗い落とす。
「あっ、あっ、が、ああ……いぎぎぎ」
リーゼが痛みに泣きわめく。
彼女の陰部にメルジェリーナの爪が立てられガリガリと引っかかれる。
削られた陰部からは、血が滴り落ちる。
長い爪の間に溜まった肉を、メルジェリーナは口に運んで飲み込んだ。
続けて、リーゼの陰裂を開いて舌を入れる。
「はうっ!!」
傷にメルジェリーナの唾液が染みて燃える様に熱い。
強い痛みの中に微かに感じる快楽が、酷く気持ちが悪かった。
メルジェリーナは悶えるリーゼを目にしながら、自分を慰める。
時間の経過と共に段々と痛みがマヒしていき気持ちが良くなってくる。
初めは嫌だったけれど、痛みから現実逃避したい。
もうどうでも良くなっているのだ。
持っていたプライドも、ここでは意味をなさない。
リーゼは壊れる寸前だった。
ガリッ、とリーゼのクリトリスが齧られる。
「あがっ」
同時に彼女の尿道から白濁した液体が放出される。
ビクビクと痙攣するリーゼを追撃するように、彼女の成長途中の胸を掴む。
「ハァハァ……」
上の空のリーゼはされるがままの状態で、胸を引き寄せられ、メルジェリーナの歯が立てられる。
ギチギチ、ブチブチ、ブチっ
柔らかい胸に歯が食い込み、そして乳輪から乳首までを嚙み千切られた。
「がっ、あぁ、いっ……あぁ」
「ゴクリ、癖になりそうでしょ、うふふ」
彼女が何を言っているのか最近はサッパリ分からなかった。
痛みに耐える為に必死だからだ。当たる物が無いから天井に吊るされる鎖を必死に引っ張る、これをすると少しだけど痛みが誤魔化せるんだ。
「今日はここまでよ、また明日ね」
「……」
最近気が付いた事がある。
足の指の感覚が無いのだ。立っているだけで痛かったから助かるけれど、このままいったら私の体はどうなってしまうのだろうか。
今日も立ったまま、リーゼは浅い眠りにつく。
レグネッセス超大国、北部ミケア州を管理する白冥騎士団の城に連絡が入る。
レグネッセス王に正式に叙任された家臣、アルフレッドの城だ。
「閣下、領内で問題の様です」
「なんだ言ってみろ」
今は亡きロレインから白冥騎士団を任されたアルフレッドは、団長の地位に座り多くの臣下を従えていた。
「ドロニカ家の親戚筋からの告発です。メルジェリーナ様が貴族の娘を誘拐している疑いがあると」
「分かった、彼女を捕らえろ。お前に任す」
「ハハッ」
くせのない、真っ直ぐな金髪の頭が下げられる。
アルフレッドの重臣ルート。
白冥騎士団を任されてから一年、補佐だったリディとキュネをそのまま重臣に向かえ、新たにルート、ペアレスが入った。
中でも生真面目な彼は、領内の管理を任されている。
ルートの手は、直ぐにドロニカ城まで及んだ。
「な、何よ勝手に、そんな話聞いてないわよ」
ドロニカ城門で、メルジェリーナはルート達騎士を追い返そうと試みたが、一つの書類でそれは叶わないと思い知った。
「ミケア州を統治するアルフレッド様のサインだ。観念するのだな」
「な、は……」
それを見て彼女は膝から崩れ落ちた。
ペタリと尻もちを着いた彼女は、騎士達に拘束され、自身の城の地下牢へと投獄されることになる。
「「「!!?」」」
城に入った騎士達は絶句した。
多くの残虐行為が行われた現場は、ほとんどがそのまま残っており、その中で腐りかかった死体と一人の衰弱した少女を発見する。
また、城の庭に埋められていた600人近い少女達の遺体も見つかり
同年秋
メルジェリーナの裁判は、本人を火刑に従僕達を斬首刑に処した。
ドロニカ城で発見された少女は酷い重症で、白冥騎士団の腕利きの医者が一週間かかりきりになって治療した。
綺麗な少女の体は、大きな傷跡が所々に残るとの事で、欠損した右胸と数本の足指は戻ってこない。
全身を包帯で巻かれた彼女は、いまだ眠り続けている。
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本日の更新はここまでです。
次の更新予定は、来週5月23日木曜日と考えています。
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