第三章 血塗れの処女
聖歴992年
レグネッセス超大国の北部 ドロニカ城
昨年から大国間の戦争が絶え間なく起こっていた。
ドロニカ城城主もその戦争に駆り出されて、留守がちのこの城は城主の妻メルジェリーナが預かっていた。
だが、彼女はある問題を抱えている。
彼女は言わば変態性欲者なのだ。
「助けて!奥様!私いっぱい働くから!」
領内に住む農奴の娘を夜な夜な誘拐し、拷問をするのが彼女の趣味であり日課だった。
数々の拷問を片っ端から試して、その痛みに悶える幼子を見て彼女は興奮する。
爪をはがし、その爪に釘を打ったり
指を短く切り落として行ったり
同じ個所に焼きごてを当て続けたり
最期には、幼き処女達の血を全身で浴びる事が彼女を満足させる唯一の事柄だ。
やがて夫が戦争で命を落とすと、城は彼女に贈与され、その手はより一層激化し下級貴族の娘にまで及んだ。
そんな彼女に誘拐された幼い少女の物語である。
少女の名はリーゼ、女の子であるが男勝りで白馬の王子に救われるお姫様より、王子に憧れるちょっと変わった子だ。
「ダンスを教えてあげるわ」
「本当に、ドロニカのおば様」
「ええ、ミッチリ教えてあげるわ。ムフフフ」
ある日、ドロニカ家の城主様にリーゼは直々にダンスのレッスンを誘われた。
嬉しくて舞い踊る彼女を尻目にメルジェリーナは舌なめずりをする。
リーゼは知る事になる。この世で最も恐ろしい惨劇を。
目が覚めたら、そこは牢屋の中だった。
鉄と糞尿が混ざった生臭い臭いが充満した場所だ。
「えっ、ここ何処!?」
リーゼは、鎖で天井にぶら下げられており、ギリギリ足が地面に届く体制。
最期の記憶を懸命に思い出す。
確か私は、メルジェリーナおば様にダンスのレッスンをしてもらって、おやつを頂いてから……そこから記憶が無い。
「誰かいるの?」
隣の壁から乾いた声が聞こえる。
「!?誰、私はリーゼ。貴方は」
「可哀そうに、そう次は貴方、私はもう用済みか……」
声の主は、何かを悟ったように語る。
「えっ……どういう事?」
「ここは、拷問部屋。私達の様な幼い子を痛ぶる魔女の根城よ」
「そ、そんな。だって私何もしていないよ、メルジェリーナおば様のいたずらか何かでしょ」
「どうせ直ぐに分かるわ、私ももう長くはないから」
鉄柵から見える頑丈な扉が開かれた。
重々しい音を奏でながら出て来たのは、やっぱりメルジェリーナおば様だった。
「お、おば様、これは一体なんの冗談なの?」
恐る恐るリーゼは聞く
「まだ貴方の番じゃないわ、楽しみに待ってて頂戴」
唾液の糸を走らせながら、顔を赤らめたメルジェリーナおば様は、壁の隣に歩いて行く。
隣では少しずつ鎖の音が増してゆく。
「やっ、やめ、ぎゃ、あっ……痛い、やめて、許して」
「あ~いいわ、とっても良い」
ギチギチと肉を裂くような音が聞こえてくる。
何が隣で行われているのだろうか、考えたくない、私は何も悪い事をしていない。
「おっ、お願い、お、お願いします」
「もっと、もっと」
水が滴れる音と、くちゅ、くちゅと言った音がひっきりなしに聞こえる。
耳を押さえようとしても、手は繋がれていてどうしようもない。
どれぐらいの時間が経ったのか、ただ天井に繋がれ隣の音を聞くだけだと時間の感覚がおかしくなってくる、
「ハァハァ、あー血を浴びたい、貴方の腹を開いて全てを滅茶苦茶にしたいわ!!」
息を荒げるメルジェリーナおば様
ああ、多分隣の子が言っていたのは本当だったのだな、とリーゼは思った。
次の日も、次の日も、隣の子はいたぶられた。
ずっと叫び続ける悲鳴を聞いてリーゼも疲労が溜まっていく。
気づけば隣から声が聞こえなくなっていた。
バシャり、と床に水が撒かれた音がしてそれはリーゼの牢まで流れて来た。
真っ赤な血、まるで葡萄のよう。
中には少し果肉の様なモノが混ざっていて、とても似ている。
コツコツと部屋を出るメルジェリーナおば様、頭からビッショリと血を浴びて赤く染まった彼女は此方を振り返り告げる。
「待たせたわね、明日からは貴方の番よ」
「……」
言葉を返す元気も無く、意識を失う。
いつも起こされるのは、悲鳴か光かのどちらかだったが今日は違った。
顔に冷たい水をかけられ、意識が戻る。
久しぶりの水に喉が少し潤う。
「おはよう、早速始めましょう」
「おば……様」
「何がいいかしら、やっぱり初めはこれよね!!」
リーゼの声は届いていない。
メルジェリーナは一人事をブツブツと呟いて一人で納得している。
目の前に置かれたトレイの上に見たこともない物がズラリと並んでいて、メルジェリーナはその中のペンチに似た物を持ち上げ
「先ずは小指からいこっか」
足の小指を挟み、曲がらない方向に全力で引っ張った。
パキッ、と音が響いた。
「!!?、ひぎっ!!!?」
一瞬世界が止まったような感覚に襲われて、リーゼの体に激痛が走る。
まどろんでいた、意識はハッキリとし、折られた足の指をピンと伸ばす。
「ん~、初々しいわね、たまらないわ」
痛みに耐える間も無く、次々に足の指が折られていく
ポキ、バキッ、ゴキ
「ヒュー、ヒュー」
「あら、しっかりおし」
反応が悪いとメルジェリーナは、頬に平手打ちをする。
酷い時には鞭で打つ。
いつの間にか、美しかったリーゼの白い足は紫色に変色していて、立っているだけでも激痛が走るようになっていた。
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本日の更新はここまでです。
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