第2話 チート能力選択
「うーん、どの能力にしようか?」
カルミア様に能力を選ぶように言われてから数時間が経過したのだが、俺は一向に能力を決められずにいる。
『倉田様の潜在能力を数値化すると1000になります。この範囲であれば自由に能力を取得できますよ』
そう言われて目の前に浮かぶ画面を見ているのだが、
『全武器マスター』……すべての武器を扱える。消費500ポイント。
『眠る』……ぐっすり眠れる。消費10ポイント。
『全魔法マスター』……すべての魔法を使えるようになる。消費500ポイント。
『疲労回復』……時間経過で疲労が回復する。消費10ポイント。
『転移』……行ったことがある場所に瞬時に移動できる。消費500ポイント。
『召喚マスター』……魔物や精霊を召喚して使役することができる。消費500ポイント。
『ものまね』……これまで見たことがあるもの動きを完全に再現できる。消費1000ポイント。
『限界突破』……己の限界を超えた一撃を放つことができる。放った後は丸一日疲労状態になる。消費300ポイント。
『息を吸う』……深呼吸をするたびに体力と魔力が少しずつ回復する。消費50ポイント。
『魔力武器作成』……ありとあらゆる武器を魔力により作り出すことができる。威力は込めた魔力によって変わる。使い終わると消える。消費500ポイント。
『暗殺マスター』……隠密行動が得意になり、暗殺者の気配にも敏感になる。消費300ポイント。
『眷属化』……倒した相手を眷属に加えることができる。眷属が得たポイントの10%を自分のものにすることができる。消費500ポイント。
『料理マスター』……あらゆる料理に精通し食材の味を120%引き出すことができる。消費500ポイント。
『意思疎通』……言語が通じない相手とも意思の疎通を図ることができる。消費100ポイント。
『釣りマスター』……あらゆる魚類を新鮮な状態で釣りあげることができる。消費500ポイント。
『毒看破』……毒があると緑色に光って見える。毒の強さにより光は強くなる。消費100ポイント。
『建築マスター』……あらゆる建造物を短時間で建てることができる。消費500ポイント。
『インベントリ』……アイテムを無限に収納することができる。中では時間が経過しない。消費500ポイント。
『ストレス無効』……ストレスを感じなくなる。消費300ポイント。
『ネットショッピング』……元の世界の商品を買うことができる。消費500ポイント。
『付与マスター』……媒体に魔法を付与することができる。消費500ポイント。
『魔力集中』……全魔力を集中させ魔法を放つ。放った後は丸一日マナ枯渇状態になり魔法が使えなくなる。消費300ポイント。
『絶対防御』……あらゆる攻撃を一度だけ受け止めることができる。消費300ポイント。
『状態異常無効』……『毒』『石化』『麻痺』『病気』『瘴気』などのあらゆる悪い状態を完全に無効化してくれる。消費500ポイント。
『魔力吸収』……敵を攻撃した時、相手の魔力を吸い取ることができる。消費300ポイント。
『体力吸収』……敵を攻撃した時、相手の体力を吸い取ることができる。消費300ポイント。
……ETC
とにかく数が多くて選ぶことができずにいる。
「どれも優秀な能力だから欲しいんだよな……」
これらの能力は過去に異世界に渡った人間が得たチートらしいのだが、一つ持つだけで世界に影響を与えかねない能力だけにポイントの消費が激しい。
「初期の潜在能力値が高いからと俺が選ばれたわけだが……」
過去に能力を得た人間のほぼ二倍。それが俺の初期潜在能力だ。
異世界を征服するからには過去に異世界に渡った人間と同等の能力では駄目ということなのだろう。
「定番と言えば『インベントリ』あたりか?」
あらゆるアイテムを収納できて時間経過がしない能力ということで使い勝手は良さそうだが、スローライフをしに行くわけではないので優先度が低い。
「そうすると『全武器マスター』か『全魔法マスター』か……あるいは『ものまね』か?」
武器で戦うか魔法で戦うか、あるいはトリッキーな方法をとるかということになる。
『ものまね』の効果は予想通りなのだろう。これだけ消費が1000ポイントと飛びぬけていることからもそれがうかがえる。
だが、この選択肢はないだろう。相手が強くても互角の戦いができるのが『ものまね』だとは思うのだが、先に攻撃を受けなければならない。
今の俺ではカウンターを放つ前に死ぬ可能性が高い。
「この『眷属化』の説明にもあるように、ポイントは後から得られるからな……」
カルミア様の説明によると、潜在能力はあくまで異世界に渡る前の初期数値でしかないのだという。その後異世界で魔物などを倒したりすることでポイントを得る機会もあるのだとか……。
「そうすると、優先すべきはこの『眷属化』だろうか……? いや」
あくまで強い魔物を使役する前提だ。今の自分にそれができるか考えると無理な気がする。
「欲しいのは自分の身の安全を100%保証してくれる能力と汎用性だよな……」
『状態異常無効化』も『絶対防御』もそういう意味では欲しいのだが……。
「女神様、いくつか能力についてお聞きしたいことがあるのですが……」
この説明だけでは不足している。俺は振り向くと彼女を見た。
『すぅ……すぅ』
カルミア様は横になり寝息を立てていた。
あまりにも俺が決断しないでいたので退屈してしまったらしい。
『すぅすぅ……くしゅん』
くしゃみをする女神様にそっと毛布を掛ける俺。
彼女が起きるまで能力一覧を見続けるのだった。
『それでは倉田様。あなたを異世界に転生させますね』
「よろしくお願いします」
あれからカルミア様に説明をしてもらい、俺は取得する能力を決定した。
「念のためにもう一度確認しますが、ポイントを得たら自由に能力を取得できるんですよね?」
『ええ、本来はここで能力を選んでおしまいですが、倉田様には特典をどこでも自由に選べる特典を与えてありますから』
「それを聞いて安心しました」
現段階で選んだ能力のみでは世界征服などできない。まずは能力を増やすことから始めなければならないのだ。
『倉田様の健闘を天よりお祈りしております』
こうして、俺は女神様の微笑みを見ながら異世界に転生するのだった。
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