第19話 姉妹と隆一郎と千佳と?
☆
私は学校から出るのが遅れた。
夕暮れの中帰宅していると駅前で見知った顔が居るのに気が付いた。
というかアイツ...律子じゃないか。
そう思いながら私は無視してスルーして帰ろうとした。
だが一瞬だけ顔が合い。
「待って」
するとそう声がした。
私はため息交じりに顔を横に向ける。
律子が私を見ていた。
私は「何」と言いながら律子を不愉快に見る。
「今日は隆一郎は居ないの」
「...居ない。それで何の用事。私は帰らなくちゃいけない」
「ああそう。なら手短に。...私は貴方達が嫌い」
「...で?」
「私は貴方達の事を佐藤さんと妨害する」
そんな事を改めて言うのかコイツは。
アホなのか?、と思いながら私は彼女を眉を顰めて見る。
すると彼女は「あまり調子に乗らないで」と忠告を入れてくる。
私は「意味が分かりません」という事を言いながら律子を見てみる。
律子は「う」となった。
「...私は...貴方達が幸せになるのがどうしても許せない。私がこんな目に遭っているのに」
「それは全て貴方が悪いです。...それに佐藤と手を組むなんて最早反則」
「煩い!私はこうするしか無かったの!」
「...だとしても彼女はイジメっ子。貴方が手を組むなんてあり得ない」
そう答えながら私は「じゃあ」と言って去って行こうとした時。
「アンタ本当にムカつく」と言われた。
私はその言葉に反論しようと思い顔を上げる。
すると「ムカつくのはテメェだ」と声が。
「...燕...」
「アンタは何も分かってない。...確か山柴だっけ。ムカつくんだよお前」
「急に何!?」
「...私はアンタと会ったかどうか知らないけど。私は望の妹。...アンタの方がムカつくよ。今までの話を聞いてね。それから...霧島さんを悪く言うな」
燕が私を見ながら律子を威嚇する。
律子はオドオドしながら私を見てきた。
その事に私は「そういう事だから」と言ってから燕を見る。
燕は「二度と私達に近付くな」と吐き捨てる。
「...」
そして私は無言になった律子を置いてそのまま歩く。
それから「お姉ちゃん大丈夫?」と聞いてくる燕。
私は顔を上げてから「大丈夫」と答える。
そうしてから歩いて帰っていると隆一郎と...誰か女子がお店から出て来ていた。
「...ああ。望」
「...?...誰?隆一郎」
「この子は千佳っていって腐れ縁の女子だ」
「貴方が望さんですか?」
「そう」
するといきなり私を千佳という女子が抱きしめた。
物凄い大きな胸で私を包む。
私はビックリしながら彼女を見る。
彼女は私をなでなでしてくる。
「よしよし~。私はお姉ちゃんと思って接してほしいなぁ」
「い、いきなり何を。...た、助けて隆一郎」
「オイ。その辺にしておけ。千佳」
「は!可愛いものを見るといつもの欲情が出てしまった」
千佳は私から離れながら次は燕に狙いを定める。
燕は顔を引き攣らせて一歩後ろに後退する。
それから逃走を図ろうとした。
私はその事に苦笑しながら追いかけまわされる燕を見る。
「...望」
「...何。隆一郎」
「アイツは信頼出来るから。...何かがあったら相談してみろ。色々な人のお姉ちゃんみたいな感じだから」
「そ、そう。でも私は苦手かも」
「苦手か。確かにな。俺も苦手だ」
そして私は千佳の胸に押し当てられている燕を見ながら笑みを浮かべる。
それから私達はそのまま千佳と隆一郎と一緒に帰宅した。
千佳とは途中で別れながら、だ。
私達は家の前で別れた。
☆
(ねえ。隆一郎)
(何だ?)
(千佳は貴方が好きとか無いの)
(やきもちか?)
(ち、違う。一応聞いてみただけ)
(千佳には恋愛感情っぽいのは無いな。...大丈夫だぞ)
(それに俺は...マジにお前しか見てないし)と文章を書いてくる。
私はその事に赤面しながら頬を掻く。
恥ずかしいけど嬉しい。
思いながら私はスタンプを送る。
そして(その)と書く。
(隆一郎。今度お家デートしない?)
(...お、お家デート?!)
(私はしたい)
(い、良いけど...)
それから私は(ありがとう)と送る。
すると隆一郎は(お前も大胆になってきたよな)と打ってくる。
(貴方だから)と返事を書いて送信した。
隆一郎は(そ、そうか)と送ってくる。
(隆一郎。...私達の絆はアイツらより大きいと思っている)
(アイツらより?ああ...佐藤とかと違って、か)
(私は...彼女達よりも強い絆で挑みたいと思っている。彼女達にぶつかりたい)
(...そうだな。...確かにな)
(その為には貴方の力も要る。隆一郎。協力して)
(当然。俺はお前の彼氏だから)
私はその言葉に(有難う)と言った。
それから私は(今から家事をしてくる)と書いた。
そして私はスタンプを送信する。
スマホを閉じた。
それから私はリビングに向かう。
するとそこでは燕が難しい顔をしてジグソーパズルをしていた。
私はその姿を見ながら柔和になる。
そして私は家事をし始めた。
野菜を水洗いしてふと佐藤と律子の事を思い出す。
何故あんなに嫌な事をするのか彼女達は。
強い恨みがあるのは...分かるけど。
だけどどうも感情のぶつけ方が違うのだ。
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