第8話 隆一郎と望
☆
心臓がバクバクする。
あまりにも...心臓に悪い。
彼女の存在が大きい気がする。
危機的&告白の様な場面に遭遇してから俺の気持ちは更に高ぶっていた。
だが。
「間違いがあってもいけないしな」
そう思いながら俺はそのまま夜遅くにしか返って来ない親を考えながら寝た。
それから翌日になってから俺は驚愕した。
何故なら。
☆
「おはよう」
「...お、おはようございます。...ってどうして!?」
「家の前で待っていたら貴方の親御さんに遭遇して家に上がってって言われた」
施錠している筈の家の中。
つまり俺の部屋の中に彼女。
木橋さんが居た。
俺は驚愕しながら木橋さんを見る。
木橋さんは俺の部屋にある漫画を読んでいた。
俺はその姿を見ながら「...」となり赤面する。
いけないいけない。
昨日の事が頭を過る。
思いながら俺は木橋さんに「起こしに来てくれたのかな」と聞いてみる。
すると木橋さんは「そう」と返事をした。
「...そっか」
「それでちょっと相談がある」
「?...何の相談?」
「お昼ご飯はお弁当?」
「...いや?学食だね」
「そう。...なら相談がある」
「...???」
俺は「うん。相談って?」と聞いてみる。
すると木橋さんは「私が貴方のお昼ご飯作っても?」と言ってくる。
俺は数秒間考えて「はぃ!?」と返事をした。
木橋さんはあくまで真顔で「私がお昼ご飯を作る。貴方の親御さんに言われた」とパタンと漫画を閉じてから本棚に直しながら言う。
「...し、しかしそれじゃ恋人っぽいんじゃ」
「...こ...!?」
ボッと赤面する木橋さん。
そして俯く。
俺はその可愛らしい姿にまた胸がときめきながら「くぅ」となる。
それから首を振った。
「...着替えて朝食を作るよ」
「その心配は要らない。私が作ったから」
「はぃ!?」
「貴方に食べてほしいから」
「...き、木橋さん。大胆になってきたね」
「だ、大胆ではな!?」
木橋さんは「も、もう」と言いながら立ち上がる。
それから去って行く。
「早く制服を着て準備して。...遅刻するし朝食が冷める」と言い残して、だ。
これじゃまるで通い妻だ。
「...木橋さんの朝食...か」
というか木橋さんって料理出来るんだな。
俺は彼女の事何も知らないな。
そう思いながら準備をとっととしてから降りた。
するとそこに...とても美味しそうな朝食が並んでいた。
「...プロ顔負けだね」
「...私...シロが亡くなってから少しだけ引き籠った期間があった。そしてその間に料理の練習をしたりした」
「...そっか。君は本当に何でもできるね。将来いい奥さんになりそうだ...あ」
「おく、さん?」
「...そ、そうだね」
忘れていた。
彼女が俺を好いているかもしれない事を。
顔を洗ったりしていたから、だ。
俺は赤面してから「ご、ゴメン」と言う。
すると彼女は「...」となってモジモジしてから「は、早く食べるよ」と促した。
「あ、そ、そうだね。早く食べないと」
「そ、そう。...早く食べないといけない」
「...」
俺達はそのまま対面同士で椅子に座ってからそのままご飯を食べ始める。
というか...何だこれは。
俺の作ったご飯の数千倍美味しい。
何というか俺が作ったものは全部ゴミだったんだな。
「...美味しい?」
「...暖かい食事だ。...君は本当に何でもできるね」
「そう。...私は別にそうでも無いけど」
だけど凄く嬉しそうだな。
思いながら俺は彼女に苦笑する。
すると彼女は箸を合わせて静かに置いた。
それから俺を見る。
「...霧島くんは...この先どうするの」
「...それはつまりアイツとの関係か」
「そう。...彼女にどう接するのかと思って」
「...あのクソ女は訳が分からないから捨てたい。...だけどそれが上手くいくかだね」
「私の運命より大変」
「まさか。同じだと思うよ。君は...あくまで自分の運命を過小評価しているから」
「...」
俺はその姿を見てから時計を見る。
時間が無いな。
急ぐか。
そう思いながら「木橋さん。急ごう」と言う。
だがその言葉に木橋さんは箸を持たない。
「?...木橋さん?」
「...霧島くん。...もし良かったら私の名前。望って呼んで」
「...が!?」
「私も...貴方を隆一郎って呼ぶ」
「...な、なん、で!?何で!?突然そうなるの!!!?!」
「私達、友人だから」
「友人でもあり。そして恋人に近い存在。だから私は望って呼んでほしい」と言いながら木橋さんは俺を見る。
それからとんでもない事を言った。
「私はこのチャームポイントだったけど金髪も捨てる」と、だ。
え!?!?!
「...これは私の全てをコーピングする為にあった。だけどもう必要ない。...貴方という大きな大きな存在に出逢ったから」
「...!!!!!」
「...私は貴方と友人になりたい。お友達から始めたい」
「...」
信じられないぐらいに可愛い。
この上目遣いが。
俺は胸に手を添えて「君がしたい事をして」と言葉を発した。
その言葉に真っ赤になっていた望は更に恥じらいながら横を見た。
「...ありがとう...」
「...」
「...どうしたの?」
「可愛い。君が」
「...そ、そんな事!?ない!?」
ゲージが100%の臨界点を超えた様な。
そんな感じで真っ赤になる望。
俺はクスクスと笑いながら彼女を見る。
そしてご飯を食べて外に出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます