第7話 愛のカタチ
☆
私は歩いて帰る。
そう思いながら玄関で霧島くんと別れてからそのまま門から外に出て数メートル歩いた時だった。
声を掛けられた。
それは...見た事ない女子だった。
「...隆一郎とどういう関係?」
可愛らしい清楚な感じの女子。
だがその顔は眉を顰めている感じだ。
何か不愉快そうな感じだ。
私はその姿を見てから「!」となる。
そうかこの女。
「...霧島くんとは友人の関係。ただそれだけ」
「それだけ?それだけで家まで行くの?おかしくない?」
「貴方に許可を取らないといけないの?彼氏を裏切ってラブホに行っちゃった様な人間に」
「...何でそれを貴方が知っているの?」
「私は彼と友人だから」
「彼と友人だからって色々と個人情報を聞いて良い訳ないでしょ?アホなの?」
私は不愉快な気持ちになりながら目の前の女子を見る。
名前は分からないがかなり不快だ。
すると私の背後から威嚇する様な声がした。
「オイ」という感じでだ。
「...霧島くん...」
「この子は俺の友人だよ。...お前にとやかく言われる様な子じゃないよ」
「...いや。友人にしてはかなり深そうだけど」
「かなり深そうに見えるよね?まあお前のお陰で深くなったんだから」
「...隆一郎。私より先に浮気したって事でしょ」
「それは違うな。律子。俺はお前の後にお前のせいで浮気したって事だよ」と霧島くんは相手の律子という女子を威嚇する。
私はその姿を見てから彼女を見る。
律子は「いずれにせよ浮気じゃん。気に入らない」と言う。
すると霧島くんは「律子。お前の様なゴミ屑と違ってこの子は良い子だ」とはっきり断言をしてから律子に吐き捨てた。
「いずれにせよ君も私もゴミ屑だね」
「...そうだな。で、どうするんだ。俺はお前と別れたいんだが」
「私は別れる気は無いよ。だって君もあの人もお気に入りだし」
「...」
「...私ね、気に入ったものは手放さない主義だし」
「...お前...」
そう呆れかえる霧島くん。
私はその姿を見てから「律子」と声を掛ける。
すると律子は「何」と一言話した。
私はその姿を見ながら霧島くんを見る。
霧島くんは「?」を浮かべて私を見ている。
その姿を見て赤面してから律子に向く。
「...私の霧島くんを取るな」
「...何様?貴方」
「霧島くんは私のもの。...貴方の様な汚れは浄化されるべき」
「ハァ?腹立つね。貴方」
「私は心から述べている」
「述べているって文学者か何か?」
律子は腹立てる様な感じを見せる。
私はその姿にはっきりと言った。
「彼は嫌がっている。だから別れてあげて」という感じでだ。
すると律子は「...」という感じになる。
「...さっきも言ったけど私は彼を手放す気は無い。...で?貴方は隆一郎のただの友人でしょ?だったら何一つ関...」
「私は霧島くんの彼女になる」
「「はぁ!!!!?」」
霧島くんの言葉が律子の声と重なった。
それから絶句する律子。
霧島くんも「は、え!?」という感じになっている。
そして私は赤面しながら唇を噛む。
「そういう事だから私の彼氏を取るな」
「な、え!?」
「ま、待って。どういう事!?木橋さん!」
「...私はこんな汚れた女のものになるなら私が貰うって言っている。...霧島くんを」
「待ってくれ!?」
そして私は彼の腕に絡みつく。
目の前の律子を威嚇した。
彼は唖然としながら私を見る。
律子も唖然としていたがやがて「...あっそ」と言い捨ててからこれ以上の議論をしても無駄と思ったのか。
「でも決して私は譲ったわけじゃないんで」と言った。
「別れないし」
「...彼にもう近付くな」
「...そんな金髪の不良女に負ける訳が無い」
するとその言葉に霧島くんが「撤回してほしい。あくまで彼女の金髪は関係ないよ」と不愉快そうになった。
律子は「撤回しない。だって彼女、不良っぽいし」と言う。
肩を竦めて「そんな泥棒猫に負けないし」と吐き捨ててから去って行く。
私は膝から崩れ落ちた。
「だ、大丈夫?木橋さん」
「緊張した。物凄く」
「...無茶苦茶頑張ったからね」
「...そう」
「...その。えっと」
「...」
「...」
私達は沈黙する。
霧島くんは私を立たせてくれた。
それから頬を掻きながら恥ずかしがる。
私はその姿に口をもごもごさせる。
「...その。...さっきの。好きなの?俺が」
「そ、の、好き...というよりかは...その。...好き、かも」
「そ、そうなんだね」
「...う、うん」
そして私達は「...」となる。
それから私はモジモジしていると彼が「そっか」と言う。
柔和な笑顔を見せた。
その顔にドキドキしていると霧島くんは「...木橋さんの事。俺も好きかも知れない」と言った。
まさかの言葉だった。
「...?!」
「...まだ(かもしれない)の範囲だけど」
「そ、そう」
「...うん」
それから私達はその事件があった後。
それぞれの家に帰宅した。
何だか滅茶苦茶に...心臓が跳ね上がる。
あり得ないぐらい心臓が高鳴る。
こんな感情は...経験したことが無い。
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