第8話
「列車とは何かな??」
「に・・兄様・・。そんなに顔を近づけないでくださりませ・・。」
なぜ?私が後ろに下がるたびに一歩前進なさるのですか・・。
「いいからさっさと言ってごらん。兄様が全部解決してみせるから・・。」
いやいやいや・・。そうではなくってですね。なんでそんなキラッキラな目を輝かせながら、黒いオーラを放出なさるのですか?怖い!めっちゃ怖い!!何なら今までお嬢様ムーブをぶちかましていたけど、素が出そうになるくらいに怖い!!
「兄様落ち着いてくださりませ。説明するので、そんなに鼻息荒くならないで!
ふんふん鼻息がかかっていや!」
私はとりあえず列車とは何かを説明した。
その説明でもピンときていなかったようなので、
記憶にある列車の絵を下手ながら描いてみました。
「ローゼ・・・。これは・・・。魔導車に匹敵する今出したらダメなやつだよ。」
兄様は額を抑えて深いため息をついてます。
「えーー!!でもでも。これすごく便利じゃないですか?
マルセイユ王国とロドー王国に線路を引いたら、物流もなんならできますよね?
物流ができたら・・。」
「その前に、誰がマルセイユ王国とロドー王国に線路を引く許可を得るのさ?」
「それは、マルセイユ王国とロドー王国のまず商人に話してみればどうですか?」
「ローゼ。その商人に心当たりがあるのかい?」
「・・・ないですわね。」
ええ!全くこれっぽっちも心当たりがないですわ!
「ふふ・・ふふふふ・・。ローゼ様はなかなか面白い着眼点をお持ちなのですね。
マルセイユ王国とロドー王国には心当たりがありますから、聞いてみます。」
ターニャさんがコロコロ鈴のような笑い声をあげた。
ヒースさんが私の描いた絵を見て興味深そうに私を見る。
「君は・・。いや大丈夫。君はこの知識を出すときは本当に気をつけるんだよ。
君のこの知識は諸刃の剣だ。わかってるよね?この世界では君の知識を実現するのは
オーバーテクノロジーを超えてしまってるんだ。
魔導車を見せてもらったけど、魔法を扱うものから見たら、オーバーテクノロジーすぎて笑ってしまったんだよ。まあ魔法の回路と魔導具の回路は違うのだけど、
その違いを踏まえた上でも魔導車は・・・。」
ヒースさんは最後の方は笑いながら、私を心配そうに見てます。
「なあ・・ヒース。こいつらはローゼお嬢のことをよくわかってるぞ。
だからそんなに心配するな。」
「それはそうだけどさ・・。こういう子達が犠牲になるのを僕たちはこの目で何度も見てきたじゃないか!」
「ヒース。わかってるわ。あなたが心配してることは痛いほど私にはわかる。
でも、この知識を隠すのは無理よ。それはあなたが一番わかるでしょ?だったら大人達ができるのはその知識を見守ることでしょ?そしてその知識が間違いだったらただす。ローゼお嬢様のこの列車の知識はこれからこの森を開発するにいいと私は思うの。」
「ターニャ。バトラー。君たちはそれでいいのかい?」
「ええ・・。」
「ああ・・。ちゃんと見守っていれば大丈夫だ。この子はな。」
私が列車の知識を出してしまったばっかりに・・・。
「ローゼお嬢。心配するんじゃねえ。ヒースが勝手に心配してるだけだ。
心配してくれるなら勝手に心配をさせておけ、お嬢が申し訳ないような顔をするのは違うぞ。ローゼお嬢がこの知識を出したのは、多分神様の思し召しみたいなもんだ。
神なんていねーけどな。あははははは・・。
気にするな。この知識が危ないとなったら全力でこっちが止めるだけだからな。
だから、その知識を大事にしろ。その知識を含めてのローゼお嬢だろ。なっ!」
パワースさんが私の髪をぐしゃぐしゃに掻き乱す。。
「ローゼ。僕たちは君が生きやすくなるためならどんなことでも力を貸すよ。
でも、だが。こういう知識を持つことはこの世界ではかなり異端になるんだ。
そして、その異端はパリセルみたいな国は異端審問にかけられてしまう恐れがある。
だから、君が婚約破棄の流れが出てきた時、僕たちは好機だと見た。そして君が
生きやすくなるこの村へきた。君たちをよく知る人間全員まとめてね。
幸い。リリアンヌもジャクソンもマクリュールも領地なんてなかったし領民もなかったから、こっちへ来やすかった。」
父様・・・。
私はその場で泣いてしまった。
いつから前世の記憶を思い出したかわからない。
多分。私が幼少の時だと思う。
でも幼少期に思ったことがある。
この記憶を隠してしまおうって。
この記憶は私に不必要なことだって。
だって、この記憶がなくてもとても幸せだったから。
優しい父様に母様に兄様・・・。そして優しい大人達・・。
その人達に囲まれながら生活するっていうことが私にとって
一番必要なこと・・・。そう思っていた。
でも・・。幼少期を終えるタイミングであのやろーと婚約して、婚約者になるために
王宮で通いでさまざまなことを仕込まれていった時に、私を見失うことが多々あった。肉体も精神もまだ未熟な上のところに、第二とはいえ王太子の婚約者になるということは万が一私が国母になる可能性もなきにしもあらずだったのだから・・。
国に尽くすということはなんて身の重いことだろう・・。たとえあんな国でも。
血を滲む努力をしたし、実際に血を吐いたことがある。
それでも家庭教師達は「あなたの将来のためですよ」という言葉で簡単に私の気持ちを踏みにじむ。
「あなたの将来」・・今にして思えばなんて軽い言葉なんだろう・・。本当に軽い。
陰で泣いていた時、前世の記憶をよく思い出した。
マック食べたいな。
スタバ飲みたいな。
顔を思い出せないけど前世の時の両親や友達に会いたいな。
可愛い服を着たいな。
それよりも何よりももっと自由に生きたいな。
もう・・。その時ボロボロだったのだったと思う。
でも・・これは私が選んだ道。
だって世界で一番美しくって優しくって、お姫様扱いしてくれるあの人と絶対に結婚するんだから!!
・・・。ああ過去の自分をぶん殴ってあげたい。
当時その表層的な目でしか見ていなかった私は、あの人と結婚するというゴールに向かうのが、自分の心がボロボロになっても道を突き進むしかなかったと思う。
そして突き進めた結果。見えてきたのがパリセル王国がもはや病巣だったという真実。
王も王妃も婚約者も誰も国のことを考えてないという事実。
ふざけるな!ふざけるな!!ふざけるな!!!お前達が放蕩を尽くしている限り国民が泣いているんだ!!なぜ?国民を見ない??国民の声を聞かない??
王様。あなたがご執心の教会はあなたを傀儡にしてこの国を乗っ取るつもりですよ?
王妃様。あなたが美容や服宝飾代にどれくらいの国費が注ぎ込んでるかわかっていますか?
第二王太子。あなた、私という婚約者がいる中なぜ他の女と寝屋を共にしているのですか?それも何人も商売女も連れてきて乱行を楽しんでおりますね?
私はあなたの一体なんなのですか??
色々と我慢をして耐えて耐えて耐えてきたのが糸が切れそうだった・・。
だから。私は親友を使ったの。親友のあなたたち王国に対する復讐心を
利用したの。
「ローゼ。私を利用してよ。王都学園の中で庶民出身で貴族に養女に出された私に対してずっと仲良くしてくれたじゃない。そして私の復讐心をわかって私が意地汚い人間だとわかっても変わらずに接してくれたじゃない。その気持ちがとても嬉しかった。だから私を利用して。」
「いいの?ミーナ??あなた・・本当にそれでいいの?まだ引き返せるわよ??」
私はミーナの手を握って目を見て聞き返した。
「いいんだよ。ローゼ。あなたは私を利用していいの。あなたがあいつら馬鹿親子のために今まで頑張ってきたの私は近くで見てきた。それに私にとってはラッキーじゃない。第二王太子の婚約者になれるんだもん。やっとあいつらに復讐ができるチャンスを与えてくれて嬉しいわ。」
ミーナは最初優しい目でそして次は意志が固い目で見つめてきた。
「ミーナ。約束して。絶対に殺したらダメ。」
「ええ。それは約束する。」
「そう・・・。なら今から計画を練りましょ。」
こうして私とミーナは計画を練って、そして私は婚約破棄してこの村へきたの。
ミーナ・・。あなたは大丈夫なの?
そろそろ・・。あなたの元に迎えが来ると思うけど・・。
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