第2話 

「ローゼ・リリアンヌ。貴様とは今日でお別れだ!!今を持って婚約破棄とさせていただく!!ついでに国外追放とする!!」

パリルス王国の第二王太子オットドルがわたくしに向かってそう言い放ってきたので「わかりました。ごきげんよう。」と言ってさっさと会場を後にしたのです。

「え・・・?ちょ!!待て。なんかこう言うことあるんじゃないのか?ほら言ってみろ!!

「別にないですわ。ただそうですわね・・。よくよく考えてみたらわたくしなんでオットドル様と婚約していたんだろう?とただただ馬鹿馬鹿しくなってきて自分のバカさ加減に辟易してしましますわね。だってそうでしょう?ご自分の顔をよーくご覧になって?ただでさえ馬鹿面なのに、頭も緩いし、性格は隙がないくらいに悪いですし、本当自分の馬鹿さ加減に笑いが出てしまいますわ・・。」

オットドルをはじめ子供を馬鹿にされた王も王妃も顔を真っ赤にして怒りになっているけれどそんなこと知ったこっちゃありませんわ。


皆さんもそうお思いでしょ?だって私はこの男のために齢五歳から王妃教育とやらを受けて自分の人生をこの男の婚約者になるためと王国のために捧げてきたんですもの。

それが蓋を開けてみたら、王妃は王の目を盗んで贅沢放蕩三昧。王は王で国そっちのけで教会の司教といかに民から吸い上げるかと言う目論見算段ばかり。

「お・・お嬢様。く・・苦しいです。」

追随していた侍女のメリーが肩を振るわせながら笑いを堪えている。

他の貴族も今まで大人しいと言う印象しかなかったわたくしが暴言を吐いているのだから、みんなあいた口が開いたままワナワナしているだけで今のところをなんも言ってこない。今のうちにある魔法式をかけてしまいましょう。

わたくしは小声でメリーに囁いた。

「時間遅行の魔法式をかけてちょうだい。」

「かしこまりました。」


なんも反応できないうちに私たちはここから立ち去る準備をする。

時間遅行の魔法式をかけたのでみんな体が動かないみたい。

「ごきげんよう。皆様どうぞ国が破滅なさりますよう願ってますわ。」


そうして私たちはさっさと馬車に乗って自邸に戻ってそこから家族たちと共に地下に潜り王都を出て、人目がつかないところに隠していた魔導車にのって辺境村へ逃亡することになったのです。



「それにしても・・お嬢様のオットドル様の最後のお別れの言葉私笑い死ぬかと思いましたよ・・。」

「メリーったら・・。わたくしはもっと言いたかったけど、あれ以上言ったら色々と面倒くさいことになりそうだったし、それにあのタイミングで時間遅行の魔法式をしてくれたおかげで、こうして予定通りに出られたわけですし本当に良かったわ。それに最後の最後まで馬鹿面を晒してくれたあの人には感謝しなくっちゃね。」

「普段なら不敬罪で訴えられて処罰されるだろうけど、うちらには関係ないしね。

最後に本音をぶつけることができて良かったんじゃないのかな?」

「いやお兄様。お母様が時間遅行の魔法式を作ってくれませんでしたら、とてもじゃないですがいえませんでしたわ!」

「あらあら〜。私も行けば良かったわ〜。そうしたら王妃にあれやこれやいって来れたのにうふふ・・。」

「お母様。お母様が集めた情報は多分そろそろ朝イチの新聞としてそして号外が出ると思いますわ。」

「まあーー!!それはそれで面白いわね。本当にうふふふ・・・。」

「その新聞の号外を出すように支持したのはわたしだ。当たり前だろう?

長年王家に尽くしてきたリリアンヌ家を随分コケにしてくれたのだからお礼はきちんと返すのが貴族のマナーだ。」

「お父様も随分お怒りなのですね?」

「当たり前だ!可愛いローゼにこんな目に合わせたのだから・・。本当は剣を抜きたかったのだが・・。私はな荒事は苦手だからな。得意分野でお礼を返させていただいた。」

お父様は情けないような表情で言ったけど、わたくしはそんなお父様が大好きなのです。

家族を全力で愛して守ってくれるお父様。


家族団欒を楽しんでいるうちにそろそろマルセイユにつきそうです。

マルセイユに着く前に魔導車をしまって、馬車を出すようにします。

魔導車の中で、皆少しは眠れたみたいですわね。

魔導車本当に楽ですわね。馬車だと最短で国境出るまで半日。国境を抜けてからマルセイユ王国に行くまで約2日。

それが魔導車だとスピードを飛ばしながら休憩しながらほぼ20時間でマルセイユまでに着くんですもの。


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