第15話 「船の修理」
その後、3人は街へ聞き込み調査を行った。しかし、結果は前回と変わらず人それぞれの最強スキルがあり、被りが1つも出てこなかった。
望んでいた結果が得られず、3人はトボトボと、長老の家に帰るのであった。
「お~おかえり~、どうだったかね」
家に入るとすぐにリビングのソファがあり、長老が腰掛けていた。
「全然ダメですね」
マナトは長老の近くに座りながら、質問に答えた。
「やはり、魔女に聞くのが1番ですね」
マナトの近くにいたカミヤが話に入る。
「スキルに詳しい博士を知っているぞ」
長老のその一言に、3人はすぐに反応した。
「詳しく聞かせてください!」
マナトが前のめりになって、声を出す。
「"ダッケル"という砂漠の島にいる博士じゃ」
「ダッケルだ!!」
マナトとカミヤは互いに目を見合わせ、声を上げる。
ミサは、ちんぷんかんぷんな様子だったので、"俺たちが丁度次に行こうとしていたところ"というのをマナトは伝えた。
その後も長老の話聞き続け、信憑性が高いと判断して、その"スキルに詳しい博士"に会う事を決めた。
しかし、問題が起きてしまう。
ここ海の街ヒュースから海上に上がることは、空気バブルを使用すれば簡単なことであるのは一目瞭然。だが、海上に上がれてもダッケル島までの距離は遠く、泳いでいくのは厳しいということであった。
船で行くことを決めたが、買うには高すぎて無理であったので、長老の使い古したボロボロの木船を修理していくことになった。
「じゃあ、僕が『創生』で壊れてる部分の木板を作ります」
「俺とミサは、木板をつける釘の調達だな」
皆、役割を決め、準備を進めることになる。
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「釘も高いよな~」
「ヒュースは物流が届きにくい所にあるからなぁ~」
商店街を歩きながらマナトはミサに話しかける。
「ミサたち貧乏だもんね~」
「盗んじまうか?」
マナトは二ヤつきながら言う。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「盗み常習犯のお前がそんなに驚くなよ...」
「あっ、そうか」
ミサは頭を書きながら、へへへと苦笑いしている。
「ちょっとぐらいなら大丈夫でしょ」
ミサは少し悩んでいるフリをして、少し間を開ける。そして、悪顔をマナトに見せながら、親指を上に上げている。
"グッッ"
(こいつ...めっちゃ気が合いそう...)
ミサのノリを見て、マナトは急激に親近感を覚え始めた。
マナトとミサは得意のすばしっこさで、何本もの釘をちょろまかしたり、他人から少し盗んだりして節約をした。何人かにバレたが、上手く逃げ切ることができた。
「こんなに買えたんですか?」
カミヤは想像以上に釘を買ってきてくれたので、驚きつつも喜んでいた。
その後も、カミヤが『創生』し、マナトとミサが板を取り付ける作業が夜遅くまで行われた。3人とも作業をしながら、寝落ちしてしまった。
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コケコッコーーーーーーーーーー!!!
庭の鶏の鳴き声で、マナト達は目が覚めた。"さぁ今日も作業の続きをするか"と準備を始めようとするが、ミサの姿がなかった。
家中を探し回ったが、姿が無く、途方に暮れていた時。カミヤが小さな紙を持って、マナトに寄ってきた。
「これ、どういうことですか?」
カミヤは不思議そうな顔をして、渡しながら聞いてきた
"ガキはもらった。返して欲しければ、釘と金を100倍にして返せ。
あの路地裏で待ってる"
マナトは見覚えがあった。盗みをバレた人の中で、路地裏の人が1人いた。やけにしつこく、巻くのに苦労した人であったので、よく覚えていた。
「ごめん...」
マナトは自分の過ちが恥ずかしく、カミヤに詳しく言う事を躊躇ってしまった。
「はぁ...話は後です」
「今すぐ釘とお金を集めて、路地裏に行きますよ」
「うん...」
マナトは子供に指揮を取られて情けなかった。自分が一番精神年齢が上であったのに...
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