第5話 「低予算旅...決定」
カミヤの言っていることが理解できなかった。空に島がある!? そんなの空想の世界だけだと思ってた。
「で、どうやって行くんだ?」
カミヤは何も答えず、黙ってどこかに行ってしまうが、息を切らしながら、すぐに戻ってきたのである。手には古びれた茶色い紙切れを持っていた。
「なんだそれ?」
「地図です!」
「いや、『創生』スキル使えよ」
思わずツッコんでしまった。
「『創生』は体力と集中力を物凄く使うんですよ」
「そう簡単にポンポン物を出せる、便利モノじゃないですよー」
「そうなのか」
「もし何でも簡単に出せたら…」
カミヤがボソボソと話したが、マナトにはその声が届かなかった。
しかし、カミヤはすぐに暗い表情の顔を切り、地図を広げて明るい口調で説明をし始めた。まず、天空島に行くには、”ダッケル”という砂漠の島に行く必要があるらしい。
最強のスキルを手に入れるルートを知って、マナトは居てもたってもいられなくなってしまった。
「ありがと、じゃあ行ってくるわ」
「えぇ!!待ってくださいよ!!」
「どうした?」
カミヤはモジモジしていた。
「僕も連れてってください」
「僕がいた方が、旅もしやすいと思いますよ」
そう言いながら、スキル『創生』を使うときの手のポーズをした。
マナトは少し考えた。1人の方が行動しやすいし、人間関係に悩むこともないので気楽に旅ができる。しかし、異世界についてまだ詳しくはないし、カミヤの『創生』スキルは実用性が高くで役に立ちそうだと思った。
(まぁ、いいか)
「よし、いいだろう」
その言葉を受け、カミヤの顔をぱぁっと明るくなる。
もっと旅をする人数を増やそうと、カミヤが提案したが断った。そもそも大人は仕事があるので呑気に旅には出れないし、スキルの良い子供を入れても良かったが大人数での行動は好きではないのでやめた。
カミヤは渋々納得して、2人で「最強スキル探し」の旅に出ることになったのである。
地図を広げ今いるロット町と目的地のダッケルに大きく黒丸の点をつけた。そして、点と点を線で結ぶと、2つの島が線と重なった。そして、その島にも寄ることを決めた。
食料調達が1番の理由だが、それにプラス、その地域での聞き込み調査を行おうと考えたのである。色々なスキルを知れるので、一石二鳥と2人は考えた。
そうして準備を進め、1時間ぐらいが経った。町を出発する際、カミヤは町の人たちに物凄く心配された。よりによって、何でゴブリンみたいな奴と行くのだ、と町の人は嘆いていた。
しかし、カミヤは1人1人に丁寧に説明をしていた。俺が悪い奴じゃないってこと、見た目と違って優しいと、一生懸命に説得をしていた。その頑張りもあって、町の人は許していた。
マナトはその一部始終を見ていた。何とも言えない気持ちになった。何か気持ちが揺らいだが、気づかない振りをした。
「えーと、まずはどこの島だっけ」
「最初の島はヒュース、海の街です!」
海の街!ワクワクしてきた!色々な街や島を巡って旅に出る。この高揚感は前の世界では味わえなかった。ウキウキが止まらない。
「海上の街か~、ロマンで溢れているな~」
カミヤは少し澄ました顔で首を横に振る。
「ん?」
「海の中ですよ」
何も知らない子供だなぁ、と言わんばかりの顔でカミヤは答える。
天空島を目指すのに、いきなり下に行くのかよ。まず。どうやって行くんだよ。マナトは、おもいっきり肩を落として、ため息をついた。
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