第3話 「カミヤ」
「へ?」
男の子は不意打ちを突かれたような顔をした。
「俺、『選択者』?っていうスキルを獲得したんだ。好きなスキル何でも選べるらしいから、この世界での最強スキルを知りたいんだよね」
話を聞いた瞬間、男の子の口があんぐり開いた。
「そ、それは超激レアスキルですよ! やっぱり存在したんだ。もはや都市伝説だと思っていた」
「これレアなんだ。ただスキル選べるだけなのに」
「何言ってるんですか?」
何も知らなそうな様子のマナトを見て、男の子がスキルについて説明をし始める。
「まず僕の名前は、穂渦カミヤです。よろしくお願いします」
急に敬語でかしこまった感じで話すカミヤに、マナトは少し不快感を感じ目を細めた。だが、そんな様子を気にも留めず、カミヤは説明を始めた。
「まず、スキルは1人つき1つしか所有できません。そして、スキルは11歳の誕生日に獲得します。もちろん、スキルは自分で選べません!」
「この世界のスキルの種類は無限大です。人の数だけスキルがあると言われるぐらいです」
(なるほど。町で見かけた、物を浮かしたり火を吹く行為はスキルでやっていたのか)
「ちなみに、僕のスキルは『創生』です。こうやって、手に力を入れると...」
カミヤは手の指がのけ反り、血管が浮き出るぐらい力を両手に込めた。見ているこっちの指がつりそうなぐらいであった。そして、両手をくっつけない程度に近づかせるおと、手の間からペンが出現し始めた。
「お!すごいなぁ」
「まだスキルを獲得したばっかなので、全然使いこなせてはないですけどね」
カミヤは自信あり気に、ペン回しをしていた。
「他に、『爆発』や『聖剣』といった攻撃特化スキルだったり、『強奪』や『トレード』といって、他人のスキルを奪ったり交換できたりするのもあると言われています!」
「お前、スキルについて詳しんだな」
「スキルオタクなだけです。つい興奮して話しちゃうので、嫌なんですよ」
カミヤは顔を少し赤くし、恥ずかしがった。
「まぁとりあえず、最強のスキルを教えてくれよ」
「最強って言われましても、最強の定義は人それぞれですよ」
「ちなみにお前は何が最強だと思う?」
「僕は...僕の思う最強スキルは...」
カミヤが何か言おうとしたその時、マナトの後から呼びかける声が聞こえた。
「カミヤ大丈夫か!?ゴブリンに何かされたのか!?」
町の住人の大人だった。カミヤとマナトが話しているのを見て、心配で声をかけたらしい。また、その心配の声を聞いて騒ぎだと勘違いし、町の住人がぞろぞろと集まってきてしまった。
(え、さすがに心配されすぎじゃね?)
「みんな、僕は大丈夫だよ!いつも心配してくれてありがとう...」
カミヤの大丈夫そうな声と顔を見て、住人は安心して散っていった。去り際に、マナトを睨む人は何人もいた。手でも出したら容赦しない、と言わんばかりの威圧をマナトは感じた。
「お前、この町のお偉いさんの息子なのか?」
「ち、違うよ。ただの一般人だよ」
「いくら俺がゴブリンとは言え、心配されすぎじゃないか?」
カミヤは困り眉をしながら、口をつむんでいた。何か言おうか言わないか迷っている様子だった。
「どうした?気にせず言いなよ」
「ぼく、お父さんお母さんいないんだ。」
「2人とも事故で死んじゃったんだ」
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