第2話 「目指すもの」

 マナトはとりあえず町の中に入った。道の先には海が見えたので、町としての大きさはあまりないと感じた。


 キョロキョロしながら歩いたからなのか、周りから物凄く視線を感じる。すれ違う人には必ず視線を感じ、マナトを見ながらコソコソ話している人も見かける。


 「俺なんかしちゃったのかな?」


 「おい、お前こんなところでなにしてんだ」

 後ろから子供の声が聞こえる。マナトが振り向くと、クールな見た目をした男の子が立っていた。


 「いや、特に。歩いてるだけです...」

 急に子供に高圧的な態度を取られ、マナトは動揺している自分が情けなく感じた。


 「人間嫌いのゴブリンがわざわざ人間の町に来てるのは怪しいだろ」

 「ゴブリン?」


 何を言っているんだ、こいつは。どの世界に来ても、変な子供がいるもんだな。と呑気に考えた。


 「とぼけるな!お前のことだ!」


 そう言われると同時に手鏡を顔面に突き付けられた。そして、そこに映っていたのは馴染みのあるマナトの顔ではなかった。


 顔面は肌色をベースに緑色の大きなやけど模様が付いていた。耳は先端が尖り、髪の毛の色は薄緑色になっていた。まるで、ゴブリンと人間のハーフのような見た目であった。


 「うわぁーーーーーーーー!!!」

 顔を手で触りながら確認するが、明らかにそれはマナト自身であった。

 

 「うるせぇ!大きい声出すなよ」

 慌てて耳の穴を塞いでいる男の子


 しかも、マナトの顔は幼くなっていた。体をよく見ると、低身長で子供の姿になっていた。やけにこの異世界の大人は身長が高いんだなと思ってたが、まさか自分の身長が低くなっていたとは。


 (だから、この子供もこんなに高圧的な態度をとっているのか。大人の俺にこんな態度取れるの度胸あるなと思っていたが、単に俺が子供になっていたのか)


 マナトは次第に状況が呑み込めてきた。


 (死ぬときに思った感情の子供時代に戻りたい気持ち、人間を憎む気持ちが混ざって、この容姿になった。ゴブリンは人間嫌いで有名だもんな)


 (そして、魅力が欲しいという強い思いも実って、スキル『選択者』を獲得することができたのか...)


 「なら、目指すは”あれ”だな」


 「ん?聞こえないな」


 「この世界で一番最強のスキルを教えてくれ!!」

 


 

 

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