mission 10 オロシタテノフクニカギッテハネルタレ
俺たちはクソメガネの案内でヒナタの乗ってきた宇宙ポッドの位置まで来ていた。
「どこいったんだ?ヒナタちゃん。」
「…ヒタナは特殊だからね。能力の影響で身勝手な行動を起こしてもなんら不思議ではないよ。」
あの清楚であの場所で唯一の俺に優しい女神的存在なヒナタちゃんが身勝手な行動…?
「一体どんな能力なんだ?」
テンマは暫く考え語り始めた。
「そうだね…。これから共に戦うんだ。君も知っておいた方がいいかもしれないね。ヒナタは僕や君と同じS級犯罪者の能力を持っているんだ。名はルシファー。犯した罪は人間の大量虐殺だよ…。なんとも許せない話だね。隊長は7つの大罪については全くわかってないと言っていたがこいつらの存在はギリシャ神話で記されているんだ。天使と悪魔の2面性を持つルシファーの特徴を引き継いだヒナタにも2つの人格がある。普段は温厚で誰にでも優しいヒナタだけど突発的にもう1つの人格が出てきて手の付け所がない暴れようなんだよ…。その代わりその人格のヒナタは凄まじく強い。」
こいつ…馬鹿なのにギリシャ神話とか知ってるんだ。
それにしてもギリシャ神話に記されている悪魔がその犯罪者なのだとしたらマザコンがベルゼブブのように戦闘力が高く鬱陶しい蝿のようであることも納得できる。けれど俺の能力であるコピーやヒナタの能力らしい二重人格は完全に一致してるとは言えない。
推測だが、俺たちが引き継いだこの能力は本家のものには到底届かない劣化品なのではないだろうか。そうであればヒナタが天使と悪魔ではなく二重人格であること、俺がサタンのように全ての悪魔の能力を使いこなせるのではなく、その悪魔の能力を引き継いだ奴らの能力を一度に1つだけコピーして初めて力を使うことが出来ると言った制約付きなのも納得がいく。
「あ。ヒナタだ。」
どうやらマザコンがヒナタを見つけたらしい。マザコンの見ている方に俺も目を向けてみた。
そして俺の目に写ったのは人間とは俺の常識では人間とは呼ぶことのできない見た目のおそらく異星人の襟元を掴み上げ今にも殴る雰囲気で怒鳴っているヒナタだった。
「オラァ!てめえキビダンゴ知らねえのかって聞いてんだよ!あ?」
え。なにあれこっわ…!ねえ!ヒナタちゃん!怖いって君だけが天使だったのに!
「ヒナタやめないか!」
テンマがヒナタを止めるために声をかけるとヒナタは異星人の服から手を離しテンマを睨みつけた。
「あぁ??てめえ…遅いじゃねえか。ろくに仕事も出来ねえポンコツマザコンが私に向かってやめないか?だと?」
あ、うん。言ってることは正しいよ?
「聞き捨てならないな。僕はポンコツではないぞ!」
いやポンコツだよお前は。
「ふっ…。いいだろう。ヒナタ君とは一度全力で戦ってみたかったんだ。」
「はあ?女相手に戦いたかったって?てめえそれでも◯◯ついてんのかよ?◯◯カス野郎…一回死んでみればそのアホすぎる頭も少しはましになるかもなあ!?」
すごい放送禁止用語だ。てかちょっと待てって…!
「お、お前ら!」
「行くぞ!」
「来てみろマザコン!」
「やめろって!」
俺には目で追えない速さで繰り出されたテンマの拳をスレスレの所で避けたヒナタはカウンターを喰らわせようとした。
しかしその拳はテンマには届かなかった。
「へ?て、テンマくん!?」
ヒナタの性格が元通りに戻ったのだ。
こいつ性格が変わっている時の記憶が無いのか?
決闘が中途半端に終わってしまい少し拗ねているテンマを無視して俺たちは会話を始めた。
「アラタくん…。無事着いたんだね。」
「あ、ああ。」
さっきまでの凶暴な女と同一人物とは到底思うことのできない大人しい表情で会話を始めるヒナタ。
「ごめんなさい。私先に着いたのに桃太郎についてキビダンゴがこの星で出回っている情報しか手に入らなかった…。」
捜査を始めるには十分な情報だが…。
「やっぱこの星が狙われてたってことか…。」
「うん。それにね。キビダンゴの被害者の1人と接触することに成功したの。」
「キビダンゴの被害者?」
「うん。彼女は痩せるための食べ物だと騙されてキビダンゴを食べてしまったらしいの。」
なにその学校とかで習う麻薬の話みたいなやつ。
「それでその人はどうなっちゃったんだ?」
「死んだ…。ううん。私が殺したの。私が会いに行った時は既に体はキビダンゴに犯され桃太郎の命令に逆らえず両親を殺害…殺してくれって私に言ってきたの。」
「殺しただと…?ヒナタ!そうするしか術はなかったのかい!?」
「私は医者じゃ無い。私の仕事は犯罪者が他人を巻き込む前に阻止すること。私にはこれしか方法が思いつかなかったの!」
「…それでも僕は納得出来ない。被害者は犯罪者か?騙されて洗脳されていただけの尊い命じゃ無いか。」
「ちょっと待てって!今は俺たちが争ってる場合じゃないだろ!」
キビダンゴ思った以上にやばい物だな…。今こいつらに喧嘩されてチームワークがダメになると俺が危ない目に会う可能性が高くなる。
「今キビダンゴと言ったか…?」
突然背後から見知らぬ男が話しかけてきた。
「うわっ!びっくりした!誰だ…って人間!?」
俺たちに話をかけてきた人物は人間の男のようだった。しかも日本人のように見える。
「お前達はなぜキビダンゴを探す。見た感じ地球人のようだが?」
「あなたこそ地球人のようですが何故この星に…?」
「わしの質問に答えてもらう方が先だ。」
「…我々は地球防衛機構です。桃太郎を追っています。」
「地球防衛機構…なぜ今になって桃太郎を追っている。」
「やっと桃太郎の情報を掴めたからです。」
「そうか…。」
このおっさんなんでこんなに質問攻めしてくるんだ?まさか!若くて可愛い女の子と長く話したいから…!?
「次はあなたがこちらの質問に答える番です。」
「ああ。そうだったな。わしは桃太郎の父親だよ。」
『はぁ〜!?!?』
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