mission 6 ネテタラキュウジツオワッテタ
「エネルギー充填率44%。発射まで残り2分です。」
機械音声が俺たちの人生の終わりまでの残り時間を告げる。これが発射した場合、どれだけの被害が被るのだろうか。
「押すなって書いてあんだろ!お前は馬鹿なのか!?いや馬鹿なんだよな?」
「なにを言ってるんだ?押すなは押せってことだろう。」
「それはお笑いの世界だけだ馬鹿!」
まずい。非常にまずい。どうやってこれを止めればいいんだ。この大きさだ。流石にマザコンの超パワーでも破壊は不可能だろう。
「充填率88%。残り20秒です。」
はい。終わった。
「よし。」
テンマが兵器に向かって近づいて行く。
「何する気…?」
「壊すんだ。」
そう言いテンマは兵器に向かい拳を突き出した。
「痛い!なんて硬さだ。」
いや見れば分かるだろうよ。逆に潰れないお前の拳の方が俺は怖いよ。あれ?
テンマが殴ったせいで太陽風式荷電粒子砲試作機の銃口は俺が乗ろうとしていたものを含めた宇宙船の方向を向いていた。
あれぇぇ?
「充填率100%。発射します。」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「本艦、小型宇宙船の修理費は毎月あなた方の給料から引いておきます。」
発射されたエネルギーは複数の宇宙船諸共、本艦の壁に穴を開け文字通り銀河の彼方へと消えていった。
「待ってください!彼は自分1人で星に乗り込み命懸けで守ろうと考えていたのですよ!」
「へえ…。吉住くんが1人で…?そうですか。ならば吉住くんと早見くんは2人で先にゴーランダ星に向かい調査を進めていてください。」
この女俺が逃げようとしたことをわかっててわざと嫌がらせを…。そもそも…。
「なんで地球を防衛するための組織が他の星を守らないといけないんすか!」
「桃太郎は地球出身の犯罪者です。宇宙空間で犯罪が起こった際はその犯罪者の出身の星が捌くのが宇宙での決まりですよ。仮にそんな犯罪者を放置して地球に危害が加わらないとでも?」
ぐうの音も出ない…。
「わ、わかりましたよ!いけばいいんでしょ!いけば…でもなんでこいつと一緒なんですか!」
ゴーランダ星に向かうのは避けられない現実だと諦めて受け入れたとして何故このアホマザコンを連れて行かなければいけないのだろうか。
「A級犯罪者が相手であること。あなたにとってこの任務が初任務となること。以上2つの理由においてあなたの1人作業は隊長として認められません。」
「だとしても…なんでよりによってこいつなんですか!他の奴で誰か−−−」
俺はここまで自分で言って気づいてしまった。
「他の隊員はあなたの事を信頼していないので早見くん以外は同行を拒否するでしょう。」
ですよねーー!!そうだった。この隊で俺と対等に話してくれるの、このマザコンだけだったーー!!終わった。多分この任務で俺死ぬわ。
「ですが、ゴーランダに向かうのにも貴方たちが移動用の小型宇宙船を全て破壊してしまいましたからね…。」
うっ…。胸が痛くなる話だ。
「ご心配なさらず!船がないのであれば宇宙服を着てこの身1つで星まで行きましょう。」
「そんなんできるのはお前だけだあほ…。」
「ふむ…。確かにあなた方2人ならばそれが可能ですね。」
「いやいや!こいつはともかく俺は無理ですよ!」
「貴方の能力なら可能ですよ。」
「は…?」
「説明していませんでしたね。まず初めに能力とは地球外生命体の特徴のことを言います。その特徴を引き継ぐには−−−」
「あ、それはもう聞いたんでいいです。」
「そ、そうですか。では、S級犯罪者は出身の星を関係なく全宇宙から追われる犯罪者を指します。現在S級と制定されているのは7体。7つの大罪と称されるこの者たちは姿、形、性別、意思の有無なにもわかっていません。わかっているのは犯された罪だけです。そのうちの1体である『憤怒のサタン』その特徴を引き継いでいるのが貴方です。」
…は?サタン?え、そりゃどうせなら強い能力がいいって思ってたけどサタン?S級?やりすぎじゃね?
「ぐ、具体的にどんな能力なんですか…?」
「サタンの犯した罪は他の7つの大罪のメンバーの特徴をコピーして星1つをたった1体で滅ぼしたと記されています。よってあなたが受け継いだ可能性が高いのはコピー能力となります。早見くんの能力をコピーすればあなたも宇宙空間を宇宙船無しで移動することは可能かと。」
コピー能力…。まじか最強じゃん。俺、なろう系主人公かよ!?
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