mission 4 コウナイエンハツブサナイホウガイイヨ
「はっ!ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
「いいのよこんな変態ほっときなって。」
「ああ。こいつは紛れもない変態だ。」
あれ、なんだろう。叩かれた頬よりも少しだけ心が痛い気がする。
「…任務の話をしましょう。」
アイリが話の流れを変えてくれた。
ありがとうメガネ女神。
「我々の部隊はA級犯罪者の捜索を行うことが決まりました。」
「A級!?そんなの無理に決まってるじゃ無い!」
アイリのA級と言う言葉にピリカは大層驚いている。
「な、なあA級ってそんなやばいのか?」
「ああ。君は知らないよね。NGSが制定した犯罪者のランクは全部で5つ。上からS、A、B、D、C…。A級とは上から2番目ってことなんだ。」
2番目!?めちゃくちゃやばそうじゃねえか…!
てか、なんでBの次がDなんだ?宇宙ではアルファベットの順序も違うのか?
「早見くん…。Bの次はCですよ。」
「えっ!?」
あ、やっぱりこいつが馬鹿なだけだった。
「隊長!A級って誰を探すつもりなんだよ!」
興奮状態でアイリに問いかけたのは鴻島ヒヅメ。
こいつを一言で表すならクソデブだろう。
興奮していきなり立ち上がっただけで少し離れた俺の元まで汗が飛んできた。クソデブだろう。
「桃太郎です。」
ももたろう…?え?あの桃太郎?
「桃太郎!あいつか…。」
「桃太郎なんてガチなやつじゃん!」
「桃太郎か…。ママ見守っておくれ。」
え…なに?あの桃太郎ですよね?
「ご存知かと思いますが桃太郎は『キビダンゴ』と呼ばれる麻薬物の一種を取り扱いそれを摂取することで起こる幻覚作用や中毒作用を用いてケルベロス・フェニックス・サルタヒコを洗脳しその武力で鬼の里を襲い金銀財宝や鬼の血液を強奪しました。鬼の血液を全て摂取した桃太郎はお供の3匹同様、不老不死の体を手に入れたとされているため現在もなお生存していると考えられています。」
え…こっわ!なにその話!
「も、桃太郎のお供って犬猿雉じゃないんですかね…?」
「それは迷信でしょう?」
ケルベロスとかの方が迷信だろ!お前の話の方が迷信が沢山詰まっちゃってるって!
「つーか探す当てはあるんすか?」
ここに来て初めて本郷タツキが口を開いた。
こいつ…スカした奴だな。自分が1番優秀だって思ってそうなツラしてる。…はっ!俺はさっきまでこいつらの俺への偏見にむかついていたが心の中で俺はこいつらを偏見でしか見てない…まさか俺もこいつらと…いや違うな。だって口に出してないもん。
「それは私の方から説明するよ。」
あ、まだいたんだ。所長代理とか言うおっさん。
「ここ最近、複数の惑星でキビダンゴによる症状と同じものが見つかっている。これが桃太郎による犯行の場合、被害を受けている惑星近辺でまだ被害が見つかっていないゴーランダ星が次の標的になる可能性が高い。君たちにはゴーランダ星に忍び込んでもらいキビダンゴの売人を探し桃太郎まで辿り着いて欲しい。桃太郎が見つかり次第、日本支部の本軍を送り込もう。」
よし。逃げよう。金は振り込まれたんだしスキを見て逃げよう。ここにいたら多分死んでしまう。
俺は心の中でそっとそう決めた。
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