mission 3 タマタマバスノトナリガシリアイダッタ


「見えました。あれがNGSの日本支部です。」


「すげえ…。」


日本…いや地球の科学力じゃ到底想像も出来ない宇宙空間に浮かぶ建物。流石の俺も声が漏れてしまった。


「すぐに入隊式が始まります。向かいましょう。」


「へー!そんなんあるんすね。」


広い部屋に入ると既にそこには7人いた。


「紹介しますね。奥の日本文化でいう誕生日席に座ってるのがNGS日本支部所長代理。林タカオさん。196箇所存在するNGSの支部のトップに立つのが所長。その代理の林さんは日本支部のNo.2ってことになります。そして奥から本郷タツキ、夢光ピリカ、鈴木タツウオ、鴻島ヒヅメ、早見テンマ、若部ヒナタ。この6人はあなたと同じ独立先行部隊に所属するメンバーです。そして私が独立先行部隊隊長 早乙女アイリです。」


この人隊長だったのか…!てかそんなことよりメンバーの名前にツッコミどころが多い気がするんだけど…。


「君が最後のメンバーだね。よろしく。」


そう俺に声をかけ、握手を求めてきたのは早見テンマだ。

俺の直感が危険信号を出している。この男、顔はイケメンだが何かやばい雰囲気が出てる。


「ああ。よろしく。」


俺が握手に応じよう近づいた時、テンマの首元にぶら下がったペンダントが目に入った。


「ん?これかい?このペンダントには大事な人の写真が入っているんだよ。」


「へ、へえ〜。彼女とか?」


「彼女?そんな有象無象ではないさ。この人は僕にとって他には変え難い存在さ。」


なんか急に語り出した。正直キモい…。


「ママさ!」


はい。確定でキモい。俺は握手のために差し出した手を引っ込めた。


「僕のママは素晴らしい!彼女無しでは僕はこの場に存在することすら無かったからね。ああ!ママ!そうだ!今日は君を歓迎する素晴らしい日だ。君にも僕のママを拝ませてあげよう!」


無視だ。このキモい生物に名前をつけるのであればクソキモマザコンキラキラネームだろう。


「とにかく今日からお世話になる吉住アラタです。よろしくお願いします!」


何事にも始まりが肝心だ。しっかりと挨拶をしてマザコン以外からの印象をよくしておかないとな。


「きっも〜!なんか真面目な挨拶して私達の信頼勝ち取ろ〜!みたいな裏がありそうでキモいんですけどぉ〜!」


「ぴ、ピリカちゃん…!だめだよそんなこと言っちゃ!」


「え〜?ヒナタもちゃんと見なよ!あの顔!絶対性犯罪を起こす顔だって!あ!まさか私たち狙ってんじゃないでしょうね!」


いやどんな顔だよ。なんだこの女。名前だけじゃなくて頭の中までキラキラしてしまってるのだろうか。


「そ、そんなこと−−−」


「そんなことはない。」


鈴木タツウオ…こいつ怖い顔してるのに俺のことを庇ってくれるのか?


「こいつの目は小動物を虐待している奴の目だ。か弱い小動物を見つけては踏み、見つけては踏みを繰り返し恐怖と苦しみで顔を歪め、悲鳴をあげる姿を見て高笑いする。そんな目だ!」


はい。殺す。絶対こいつら殺す…。


「タツウオくんもピリカちゃんもやめなよ!あ、アラタくんだっけ?私は仲良くして欲しいな…。」


皆が俺を偏見的な目で見るなか、若部ヒナタこの子だけは俺に仲良くしたいと言ってくれた…。わかった…。こいつは俺のことが好きなんだ。男として女の子の好意に応えないなんてことがあって良いのだろうか…?いや、ない!


「ひ、ヒナタさん!!俺も好きでーーーーす!!!」


俺はヒナタの好意に答えようと駆け寄り抱きしめようとした。


「ひぃっ!!」


ヒナタの力の抜けるような悲鳴と共に繰り出されたビンタは俺の頬を打ち抜いた。

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