命の果て
最高の人生の見つけ方
終わり方、始め方。
僕は輪廻の先に見た
あのケシキを忘れない。
時雨に咲いたリコリスも、
晴れた全能の光も、冬の日も
せめて泣かないで、行かないで
この心なしか、咲いた夢のように生きてきた
こんな私でも、そう、幸せだったんだ。
光を見た
闇の先に、輪廻の先に
あぁ、もうこの刹那に、全時間は収束して、
そう、君と僕のために全世界を祝福する。
魂は、全過去と未来から収束して、
未練も、疚しさも、置いてけぼり。
美しかったなぁ、死の味は
死の香りは、死の彩は
宵に酔ったは、有限の夢
もう、死ぬのも生きるのも変わらないと悟った
あの冬の日に、期待も憂いもないと誓ったのに
そうか、この目の焦点が合わないのは。
虚しさと切なさと
せめてこの世界で果てて、終わって
全能の日、荒廃した世界で会った世界最後の君と
会えなかった者、そぐわなかった者の涙さえ
あぁ、夢に見た、あの景色に
天上楽園の火に
愛は愛され、救われて
ハデスの狭間で生きてた、そう。
でも、でも、そうなんだ。
悟ったら普通には生きれないのに、
悟るのを求めてやまない
幸せだった、世界一
けれど、ハデスの狭間から抜け出る術は
己で掴めと言われたから
彼女は死の間際そういった。
もうお別れ。彼女は不治の病を患っていた。
死ぬまで明かさなかった。どうして?
僕に伝えてよ。そしたら一緒に死んだのに。
でも、もういいんだ。
「あなたが救わなくちゃいけないのは、あなた自身」
彼女は苦しいはずなのに、きっと脳に脳内麻薬が分泌されてたんだろう。そう言って泣きながら笑うその愛しい顔は今までで一番美しく見えた。
焦がれる。逢えない。死んだら無。
わかってしまった。
本当に欲しかったのは、君との永遠。君の笑顔。
もう十分なのに、君は僕に生きろと言った。
最期、花に包まれた君の死に顔。
涙の味のする記憶。
でも、もう戻れないから。
過去を変えることなどできないけど、
未来は変えられるから。
だから、私は生きることに決めた。
No.8散文詩『酔いの醒めた夜明けに』 空花凪紗 @Arkasha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます