第6話
「適当に30分……あまりお散歩には詳しくないのですが、これは妥当な時間なのでしょうか?」
「少し調べてみたのですが、散歩は一般的に30分が適した時間であり、20分程度でも有酸素運動になって脂肪の燃焼効果などが期待出来るのだそうです。なので時間についてはむしろ都合が良いと言えますが、世の中について考えようとはまた変わった内容ですね。共田様、このお散歩はどのようにすれば終わりになるのですか?」
「たしか指定された分の移動をした上でこの下の方にあるカメラのマークを押すと撮れる写真を一枚でも撮ればクリアになったはずです。それでクリアするとリザルト画面が表示されて、そこから報酬の妖怪や妖怪の成長などに使うアイテムの入手画面になったと」
「つまり、大事なのは散歩にかけた時間や距離で、もう一つの文言については解釈などは自由なのですね」
「そうなります」
先に体験しておこうと思って早朝に試したのでそれは間違いない。因みに、その時にお題を貰うで出たお題が“雲の流れる方へ歩いて誰かの作品を見る”であり、こういった指定された時間や距離がない場合はそこすらも自由のようだった。
そしてどうやら一度出たお題は諦める事も出来るようで、諦めたらどうなるのかと思って一度やってみたらちょっぴり残念そうにこちらを慰めるワラシちゃんの言葉が出た後に妖怪を育てるのに使える素材が一つ貰えてしまった。
罪悪感さえ感じなければそれで無限に出来てしまうのではないかと思ったけれど、それで貰える素材は一日に一つまでのようなのでちょっとホッとしていた。
「さて、それじゃあお題に従って適当に30分歩きながら世の中について考えてみましょうか。といっても、結構難しそうなお題なのでどうこなそうか迷いますけどね」
「はい。けれど、どこまで行けば30分なのでしょうか……私、まったく外を歩かないので基準などがわからないのです」
「そうですね……たしか僕の家から市民プールとかがある公園辺りまでが30分くらいで、僕の家からここまでがだいたい10分くらいなので公園を通って家を経由してここに戻ってくるような形で良いと思います。お題的には適当にって書いてますけど、本当にあまり考えずに歩くと30分以上になっちゃいますしね」
「たしかに……では、その行き方にしましょう。芽衣子、行ってきますね」
「吉良さん、行ってきます」
「お二人ともいってらっしゃいませ。車などにお気をつけて」
その言葉に頷いた後、僕達は30分の部活動を始めた。
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