小間物屋お七

@k0905f0905

第1話

「お七、その方道中簪にて、通行人

油屋問屋佐平治の心の臓を一突きにして

殺害したること明々白々である。よって

拷問責めで極刑を申し渡す」

大岡越前忠孝が行商の小間物屋お七に

お沙汰を言い渡した。

「お奉行様、お言葉では御座いますが

私には全く身に覚えがないこと。どうか

再度吟味を」

「えーい、やかましい。往生際が悪いぞ

お七。このままじゃ佐平治の御霊が

浮かばれねえんだ。観念しやがれ」

「ですがお奉行様」

「お七を水責めにせえ」

大岡が役人たちに命令した。

役人の一人がお七の首根っこを

捕まえて、盥の中の水に無理やり

押し込んだ。

「ひとーっ、ふたーつ、みいーっう」

役人が数を数える。

役人がようやく手を離した。

「ぷはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ、

ゲホッゲホッ」

お七が苦し気な表情で咳込んだ。

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