第2話 む、無理……
青春は友人がいないのか、休み時間はほぼ図書室にいた。
貸し出されてる本を読んでる時もあれば、ボーッとしてる事もあるし、持ってきてはいけない漫画をカバーで隠して読んでたりもしていた。
和花は少し離れた席に座り、青春をよく観察してたから知っていた。
和花自身何故かわからずも、同じように図書室に通い、青春をよく見ていた。
たまに目が合うと、すぐに本を読んでるフリしてとぼけたりする。
(自意識過剰かもしれないけど、よく目が合う気がする……)
もしかしたら青春も自分を見てるのかも……そう思うと和花の顔は熱くなった。頬はリンゴのように赤くなってる。
「あ、いたいた。和花~」
唯一の同性の友人、
「ん? なになに? また闇野君を覗き見……」
「わ、わーわー!」
らしくないほどの大声で、良子の言葉を聞こえないように書き消す。
当然ながらここは図書室だ。
図書委員や、他の生徒から無言の圧を感じた。
「す、すいません……」
ペコリと謝罪して、すぐさま図書室を後にする和花と良子。
廊下に出ると和花はぷんすかして良子に言う。
「ちょっと良子ちゃん!」
「ごめんごめん! 隠れファンなんだもんね!」
「ち、ちがうって! そんなミーハーみたいな……」
「でも何かしら興味あるからいつも見てるんでしょ? 男嫌いのあんたが」
「……」
実際、和花は青春に惹かれているのだろう。苦手な男子なのに目で追うとはそういうことだ。
ただ、彼女は初恋すらまだだった。そのためこれが恋なのかなんなのかはわからなかった。
「でもさ、あんたは茶谷にしといたほうがいいって」
良子の発言に驚く和花。
「ど、どういう意味?」
「だってあんたいじめられてるんでしょ? クラス別だし、茶谷に聞いた情報しか知らないけどさ」
「そ、それでなんで茶谷とって事になるの?」
「全部聞いたよあいつに。茶谷と付き合ってって言われたんでしょ?」
茶谷が言いかけた話題はそれだ。
「あいつヤンキー系だし、恋人になればいじめてくる連中もいなくなるから……とか言われたんでしょ?」
「……まあ」
「とりあえず付き合ってみたら? 守ってくれるって言ってるんだしさ」
確かにいじめがなくなるならそれが一番いい。でも和花は……
「む、無理……」
「ありゃま。そんなにあいつと付き合うの嫌? 友達じゃん」
「元々良子ちゃん繋がりだし、友達ってほどじゃない……向こうはよく話しかけてくるけど」
「手厳し~」
「だって怖いもん」
和花はヤンキー系が嫌いだった。おまけにいじめのせいで男子そのものを苦手になってる状況ではなおのこと。
「そもそも……そんな理由で付き合うとか間違ってる。やっぱり心から好きになった人と恋人になりたい……」
「うわーロマンチストだったんだあんた。意外~男子苦手のくせに」
「う、うるさいな……」
……そんな二人を少し離れた所から覗いてる人物の影があった。
「「ちっ。やっぱ生ぬるかったか。もう少し派手にやるか?」」
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