第10話 姉にモテ期が到来しました!?



特に問題もなく病院を退院。

あとは経過観察のための定期的な受診となった。


そして奇跡的に姉がスポーツ漫画の世界にトリップ(意識が)したため、ダイエット意識が大開花。

元がかなりのデブだったが病院食でデブから小デブになり、本人もダイエットにやる気なので、私も姉を応援することにした。


「わあ、お姉ちゃんやっぱりボブ似合うよ!」


以前私が姉に提案した通り、美容院代とまつ毛パーマ代は私が負担した。


「六花ちゃん、本当にありがとうね。」


「お易い御用よ!お姉ちゃん可愛くなってめっちゃいい感じだよ!」


これでお姉ちゃんは再び学校に登校できる。

一応、入院していたことは学校には連絡済みで、高校三年生はみんな受験なので先生からは「登校できるだけで大丈夫だから。」「無理しないようにね」とだけ言われたらしい。


「久しぶりの学校、少し楽しみ。」


姉は今までよりずっと明るかった。

あんなに明るい姉を、初めて見たかもしれない。


私は心配だ。

突然垢抜けた姉を見て、学校の人達はどう思うだろうか・・・・。




***




「なんでこんなことに・・・・・!!目立ちたくない!!ほっといて欲しい!!私には推しがいればいいのに・・・・!!」



帰ってくるなりバタバタと私の部屋に駆け込んできたのは、今日久しぶりに学校に登校していた姉だった。


スクールバックにはクリアポーチに入ったシュートのアクキーやぬいぐるみがぶら下げられていて、いかにも池袋のアニ○イト周辺にいる推し活女子のカバンだ。

いつも通りの姉の持ち物って持ってる本人は今までの「根暗ブス」を脱却して姉妹の私が言うにも変だがなかなか綺麗な顔をしている。


私の心配は的中したようだ。


「2回目のトリップをしたような気分だった・・・どうしよう、またなんか変な人に突っかかれたりしたら」


姉は私に泣きついてきた。

・・・・変な人、とは恐らく『サッカーの王子様』の世界で執拗に追いかけてきたファンクラブの人達であろう。


「だって聞いて!?六花ちゃん、私、今日話したこともない男子から連絡先聞かれたの!

意味わかんなくない!?

今まで私なんて空気みたいな扱いしてきてたのにさあ!?」


よくよく話を聞くと、それはクラスの陽キャで運動部。

学校行事には積極的に参加をするタイプで、イベントではリーダーのような感じらしい。


「そりゃ、しばらく休んでたお姉ちゃんが急に垢抜けたらそうなるんじゃ・・・?」


私はあくまでも冷静にそう言ったが、まるでトリップの世界から帰ってきた話を聞いた時のようなドキドキ感がある。


・・・・学校が違うのが悔やまれる。


「お姉ちゃん、あたし明日はバイトないからさあ、お姉ちゃんの学校まで行くよ。

帰りは一緒に帰ろう。」


とりあえず、どんな輩が姉言い寄ってるのか気になるし、変なやつらだったら私が姉を守らなくては・・・・!と思うのだった。






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夢女子お姉さん!? 大路まりさ @tksknyttrp

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