第2話 スキル鑑定

「ここが探索者連合か……思ったより広いんだな」

 

 俺はとりあえず受付カウンターのような所を見つけたので、そこに向かう。

 

「ライセンス登録をお願いしたいのですが」

 

「分かりました、ではまずスキル鑑定を行いますので番号が呼ばれたら奥の部屋に来てください」

 

 俺は番号が呼ばれるまで待つ。

 

 スキル鑑定は、スキルのレア度や有無を調べるものだ。

 

 スキルには当たりと外れがある。


 当たりスキルは魔力が強力だったり、ステータスが強化される。

 

 逆に外れスキルはステータス強化が弱かったりと、戦闘に不向きである。

 

 そんなことを思っていると俺の番がやってきた。

 

「99番の番号でお待ちの田中良太様、奥の部屋へどうぞ」

 

 受付の人に言われた通り、俺は奥の部屋へ進んで行く。


 すると中には黒髪の女性職員が椅子に座っていた。

 

「ではこちらに座ってください」

 

「はい」

 

 俺は言われた通り椅子に座る。

 

 すると職員さんが1つの資料と鑑定筒らしきものを取り出した。

 

 どうやらこの中に入っている物でスキル鑑定をするらしい。

 

「ではあなたの職業は?」

 

「月島高校に通う2年生です」

 

 試験官の簡単な質問に俺は淡々と答えていく。

 

「ではスキル鑑定を行いますね、こちらの水晶玉に手を乗せてください」

 

 俺は言われるままに水晶玉に手をかざしてみる。


 すると水晶玉が光り始めた。

 

「ふむ、見たことのないスキルだな……」

 

 試験官がまじまじとスキルを見る。


 するとハッとしたような表情で答えた。

 

「あなたの異能は《成長》というスキルです」

 

「それってどういう能力なんですか?」

 

「実は私も見たことのないスキルでして……」

 

 試験官は困惑気味に話す。


 もしかして外れスキルを引いたのか?


 まあ取り敢えずスキルの確認は後にしよう。

 

「これでスキル鑑定は終わりです。これからはダンジョンに潜って探索が出来ます」

 

「ありがとうございました、失礼します」

 

 どうやらこれで俺はダンジョンに行けるらしい。


 正直少しワクワクするな、まさか探索者になる日が来るとは。

 

 俺はスキル鑑定をしてもらった試験官に礼をして、部屋から出るのだった。



 side 試験管


 私は田中良太のスキル鑑定をした試験官だ。


 今私は困惑している。

 

 なぜなら彼の《成長》というスキルは、今までに見た事のないスキルだったからだ。

 

「これは少し上に報告する必要がありそうだ」

 

 しかもスキルの内容が全ステータスを上昇させるもの。

 

 なかなかに優秀である。


 本来の当たりスキルは一部のステータスが向上させるものだ。

 

 だがあの子のスキルは全ステータスが向上するスキル。


 これは確率的に極めて稀である。

 

 もしかしたら彼は凄い探索者になるやもしれないな。



―――





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